緻密な取材力と企画力で、時代を捉える経済誌・ビジネス誌。ビジネスパーソンが主な購読者で、パブリシティ効果も高いと広報から熱視線を浴びる一方、機密性の高い情報をスクープされたりと、時に手強い相手にもなりうる。本特集では、特に注目を集める5誌の編集長が、広報とメディアの理想的な関係について語ります。

毎日新聞出版 『週刊エコノミスト』編集長 金山隆一(かなやま・りゅういち)氏
明治学院大学法学部卒業後、1991年4月、重化学工業通信社入社。主にプラント輸出、石油化学、アジアの経済、産業情報を取材、執筆。2002年4月、毎日新聞社週刊エコノミスト編集部へ。12年、週刊エコノミスト編集次長、15年4月1日に毎日新聞出版に転籍し、現職。
経済的に重大事実が発生すれば、
金曜昼に誌面変更することも
常にいかに新鮮な話題を入れるか、一方でどれだけ深掘りできるかのせめぎあいです。ギリギリの場合、金曜日の午前中まで悩むこともある。急きょネタを差し替えることもしばしばですが、それでもしっかり専門家のコメントを取ってくる。うちの部員は中々がんばっていると思います(笑)。また、編集部はジャンルごとの担当分けをせず、総合的な力が備わった編集者が多いです。
知的渇望感をくすぐる誌面を
1923年に毎日新聞社が創刊したビジネス誌『週刊エコノミスト』。専門家による緻密な情報と鋭い分析を持ち味に核心に迫る同誌の金山隆一編集長は、「経済や市場の変化の兆しをつかみ、いつどんな形で来るか。それをいち早く詳しく伝えることが『週刊エコノミスト』の使命」と力強く話す。
取材の際は常に、「そこに世界経済の変調が出ていないか」に常にアンテナを張る。特にマネーの流れには敏感だ。アナリストやエコノミスト、トレーダーなどへの取材を通して、投資マネーの引き上げや過度な集中によるバブルの発生など、変わった動きがないかを注視する。
また、世界を劇的に変える新しいテクノロジーにも注目する。例えば、水素(燃料電池)や自動運転、人工知能、iPSをはじめとした再生医療技術には、産業や経済を180度変える力がある。「IT革命がまさにそうでしたが、今の勝ち組が、十数年後になくなることがあり得る。そうなる構造を探りたい」。
編集部は約20人の5チーム体制だ。チームごとにいる副編集長(デスク)が大きな方針を決め …