下請け企業から届いた告発 暁新聞社会部の本気〈完結編〉
副社長を含む3人の役員による粉飾決算が明らかとなった浅津電気。ついに地検による強制捜査が入った。広報部の川北琢磨は逮捕された3人が連行される姿をテレビ画面で見ながら無力感に襲われる。そして200人以上のメディアが集まった記者会見で、社長の小石川雄作は想定問答とは違う回答を口にしはじめた……。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
副社長を含む3人の役員による粉飾決算が明らかとなった浅津電気。ついに地検による強制捜査が入った。広報部の川北琢磨は逮捕された3人が連行される姿をテレビ画面で見ながら無力感に襲われる。そして200人以上のメディアが集まった記者会見で、社長の小石川雄作は想定問答とは違う回答を口にしはじめた……。
浅津電機の実態について口を開いた、下請け企業の社長が自殺した。暁新聞社会部デスクの長門俊平は、共に取材を進めていた杉下祐作、赤塚周大と通夜に参列する。その帰り道、部長である籠原真治の指示で、3人は浅津電機本社へのガサ入れを取材すべく動き出す。同じ日の夜、浅津電機では緊急会議が開かれていた。
暁新聞社会部に届いた複数の告発文から、長門俊平や杉下祐作、赤塚周大らは浅津電機の闇を暴くべく動き出す。杉下らの熱意に、下請け企業の社長や社員たちも、少しずつ重い口を開き始めていた。その頃、浅津電機の広報部次長である川北琢磨は、ある違和感から最悪の事態を想定していた。そして状況が動き出す。
暁新聞社会部の杉下祐作のもとに届いた1通の封筒。中には浅津電機株式会社に対する告発文。普段は「そんなもんほっとけ」と言うデスクの長門俊平が珍しく興味を示す。実は長門のもとにも別の企業から同様の告発が届いており、さらに別の2社からも同様の告発が寄せられた。そして1カ月後、杉下たちが動き出す。
県庁の広報課職員である宮城健太は、高校時代に土砂災害で母を失った。その経験から、危機対策統括委員会で職員の危機管理意識を煽り、県知事の花形誠司にも熱く訴え、危機対応マニュアルの作成を任され完成させた。そして突然起きたマグニチュード8.1、震度7強の大地震。そのとき、宮城のマニュアルは……。
危機対策統括委員会で危機対応マニュアルの必要性を訴える宮城健太の姿に、渋面をつくる危機管理統括部の職員たち。そのとき、県知事の花形誠司は宮城に具体策について話すよう促す。ひとしきり話を聞き、宮城にマニュアル作成を進めるよう指示を出した花形は、「申し訳なかった」と頭を下げる。その真意は……。
【あらすじ】 15年前、高校時代に起きた土砂災害で母を失った宮城健太は...
ホテルシーサイドマリーナ木更津での爆発は、パワーハラスメントが原因で自殺した女性従業員の兄によるものだったことが判明。加害側であるホテルへの風当たりは厳しくなり、記者たちが詰めかける。社長は雲隠れし、連絡が取れない中、一丸となって対応する従業員の姿に、広報課長の名城亮介は、ある決断をする。
ホテルシーサイドマリーナ木更津で起きた爆発。広報課長の名城亮介は、部下の白坂ひろみから届いたある宿泊客への“違和感”を捜査員に告げた。監視カメラの画像に映っていた不審者について情報提供を募ると、白坂の同期である酒井茉由が手を挙げた。その人物は、ホテルが隠していたある事実ともつながっていて……。
季節を問わず、多くの宿泊客が訪れる千葉県の「ホテルシーサイドマリーナ木更津」。広報課の白坂ひろみは、1年ぶりに帰省するため仕事を終えた足でホテルの玄関前から空港行きのバスに乗り込む。入れ違いに降りた客から、わずかに火薬の臭いを感じ、念のため同期の酒井茉由にメッセージを送ろうとするが……。