ホテルで発生した爆発事件広報に迫られる危機対応〈第一編〉
季節を問わず、多くの宿泊客が訪れる千葉県の「ホテルシーサイドマリーナ木更津」。広報課の白坂ひろみは、1年ぶりに帰省するため仕事を終えた足でホテルの玄関前から空港行きのバスに乗り込む。入れ違いに降りた客から、わずかに火薬の臭いを感じ、念のため同期の酒井茉由にメッセージを送ろうとするが……。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
季節を問わず、多くの宿泊客が訪れる千葉県の「ホテルシーサイドマリーナ木更津」。広報課の白坂ひろみは、1年ぶりに帰省するため仕事を終えた足でホテルの玄関前から空港行きのバスに乗り込む。入れ違いに降りた客から、わずかに火薬の臭いを感じ、念のため同期の酒井茉由にメッセージを送ろうとするが……。
市民サービス課に再び届いた告発メール。そこには、証拠となる写真も添付されていた。広報を兼ねる企画課課長の君津凌士は、どこか信じられずにいたが、暁テレビの小倉保志からの連絡により、最悪の事態を想定せざるを得なくなる。そのとき、君津の脳裏に浮かんだのは、かつて企画課の先輩だった東川幸作だった。
市民からの声を各部署に届ける市民サービス課。ある日、産業廃棄物処理の入札にまつわる告発メールが届いたものの、企画課課長の君津凌士はその信憑性を信じきれずにいた。部下の小浪万文に共有していた時、暁テレビの記者が訪れる。そして迎えた正月明けの出勤初日、再び暁テレビの記者から連絡が入った。
海に面した、小さなまちの市役所で1年前に生まれた市民サービス課。各部署に届ける市民からの“声”は、ほとんどが苦情メールだった……。ある日、職員の佐原兼四郎は「告発」というタイトルのメールを目にする。そこには、産業廃棄物処理の受託入札にまつわる贈収賄について、詳細な内容が書かれていた。
役員が35億円を使い込むという不祥事を起こした小角自動車。広報コンサルティング「咲良広報オフィス」を訪れた同社の広報は、記者会見以外の選択肢を咲良修一に求めるが、咲良はそれを一蹴した。それからしばらくして、咲良は小角自動車で常務取締役の丹後志郎と対峙する。そこで丹後が咲良に求めたことは……。
広報コンサルティングを手がける「咲良広報オフィス」の立ち上げから10年。8人の社員を抱える咲良修一のもとに、創業当時、横柄な態度で接してきた小角自動車広報の長谷部から電話が入る。小角自動車で二度目となる役員の不祥事が起きていた。相談に訪れた長谷部は、頑なに記者会見以外の選択肢を求めるが……。
広報として勤めた企業を退職し、たった一人で広報コンサルティング会社を立ち上げた咲良修一。起業から10年が経ち、8人の社員を抱えるまでになったある夏の日、10年前の記憶がふいに蘇る。依頼のない日々を過ごす咲良のもとにかかってきた1本の電話。それは、日本で三指に入る大手自動車メーカーからだった。
石巻の川上蒲鉾が商品偽装をしている─。身に覚えのない疑惑とメディアからの問い合わせに戸惑う社長の川上有希。くじけそうな心を救ったのは、従業員の言葉だった。潔白を証明すべく開いた説明の場で、メディアからは偽装を前提とした質問が投げかけられる。1時間半にわたる会見の数日後、真実が明らかになる。
「川上蒲鉾」に、テレビ東北の記者・中丸から商品偽装について問い合わせが入った。不慮の事故で亡くなった3代目社長の夫・川上涼太と幼なじみだという中丸は、「株式会社川上蒲鉾の商品偽装について」と書かれた告発文を見せる。悔しさに震える有希だったが、事務の高瀬真子からの一言で、あることを思いつく。
【あらすじ】宮城県石巻市にある小さなかまぼこ屋「川上蒲鉾」。4代目社長の川上有希は、営業の井沢真也と二人、降って湧いた商品偽装の疑惑に頭を悩ませていた。社長室で一人になった有希は、今は亡き義母・佐知子と夫・諒太の写真に思わず話しかけた。そこに一本の電話が入る。相手は、テレビ東北の中丸という記者だった。