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リスク広報最前線

危機管理広報は儀式ではない 社内外にどう受け止められるか再点検を

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

    日産自動車「下請法違反」ほか

    2024年3月

    会社・組織が謝罪するケースが立て続けに発生しました。公正取引委員会から下請法違反を理由に勧告を受けた日産自動車、車椅子のお客さまへの対応がSNSで話題になったイオンシネマ(イオンエンターテイメント)、学生サークルによる器物損壊の動画がSNSで拡散された神戸大学の各ケースです。今回は、会社・組織が謝罪する際の効果や狙いについて掘り下げます。

消極的な発信、信頼回復のチャンス逃す

日産自動車は、3月7日、下請け会社36社に2021年1月から2023年4月にかけて約30億円を減額する下請法違反があったことを理由に公正取引委員会から勧告を受けました。この件について日産自動車はリリースをウェブに掲載しただけで、内田誠社長が「法令に関する認識が甘かった」などの言葉を発したのは3月13日の春闘に関するオンライン説明会が初めてでした。 同時期に公正取引委員会から排除措置命令等を受けた中部電力や警告等を受けた東邦ガスなどは適時開示していました。

それに比べると、①自社サイトへの掲載だけで開示せず、②勧告から1週間が経過するまで社長が表に出ず、③春闘に関する説明が主となる場で、④オンラインで謝罪しただけでは、世の中の人たちに...

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