この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
セコム コーポレート広報部 理事・部長 安田 稔(やすだ・みのる)1954年生まれ、愛知県一宮市出身、78年明治大学政治経済学部政治学科卒。80年日本警備保障(セコム)入社。名古屋支社営業部を経て、82年本社広報室配属。89年広報室次長、94年広報室長、2007年コーポレート広報部長。2012年理事兼コーポレート広報部長。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:真摯・誠実・謙虚・感謝/私たちの「安全・安心」のサービスはお客さまが不安になったり苦しんでいるときにご提供するものです。常にお客さまの心情に配慮し、真摯に誠実に応対することを心がけています。また、お客さまや社会に謙虚に感謝の気持ちを忘れないようにしています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:1982年から33年間一貫して広報業務に携わっているので、多くのやりがいのある仕事をさせていただきました。大きくは3つあります。ひとつは81年に日本初のホームセキュリティシステムを営業として販売に携わり、翌年から広報の立場でPRに関わったこと。ゼロからのスタートで34年かけて昨年、100万軒を超えるご家庭にご契約いただけるようになりました。2つ目は83年に日本警備保障からセコムに社名変更し、新社名、新ブランドの浸透に携わったこと。今では各種調査で95%前後の認知度に達しました。3つ目は89年に創業者が「社会システム産業」というビジョンを宣言し、その普及に27年間取り組めたこと。これはまだ道半ばなのでこれからです。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)忍耐強さ(2)謙虚さ(3)社会性
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:当社のコーポレート広報部は、広報課、宣伝課、Web課があり、トータルで一体的なコミュニケーション活動を目指しています。ただ、どんな媒体、どんなコミュニケーション手法でも企業理念やビジョンに基づく一貫したメッセージが根底になければ、社会への浸透度はより深く、より広くならないと考えています。ウェブの比重が高まり、SNSなどがさらに普及しても、またどんなに時代が変わろうがそれは変わらないと思います。むしろ広報の役割はますます大きくなると思っています。また企業体が大きくなったり、企業の国際化がさらに進んでも、広報は一段と重要になっていくと考えています。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:ブランド力は広報・宣伝・ウェブだけで向上を図れるわけではなく、企業の総合力によって築かれるものだと思いますが、お客さまや社会との最先端で常に全体をイメージでリードしたり、潤滑油の役割をすることだと思っています。そこが少しでも実感できれば、とてもやりがいのある仕事ではないかと思います。