この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
日本マイクロソフト1991年4月横河・ヒューレット・パッカード(現 日本ヒューレット・パッカード)入社、広報室配属。99年11月マイクロソフト入社、2000年4月広報グループ長。08年7月社長室広報部長、2010年7月社長室コーポレートコミュニケーション部長。
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Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:どんな状況でも常に前向きに取り組み、常に変化を起こすことを目指し、プロフェッショナルという意識を持って取り組む。/企業の広報をやっていれば、社会、市場、社内で日々いろいろなことが起きます。どんな状況でも前向きに取り組み、様々な社内外のステークホルダーとコミュニケーションを図り、事態を変化させていくということが、信頼されるプロフェッショナルと考えています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:外資系企業での広報業務一筋のキャリアで、2度社名変更を経験。資本が外資系ということだけで、働いている社員の大半も日本人、日本市場での事業に責任を持っているので、「日本に根付き、日本で信頼される企業を目指す」という方針を軸にして広報活動を行っています。2011年2月に日本マイクロソフトに社名変更して以来、「日本」を付けた思いを徹底して訴求しました。その方針に基づいて徹底した広報活動を展開することで、市場における会社や商品のイメージ、社員にとっての「働きがいのある会社」としてのイメージを向上させ、結果として会社の成長に「広報力」がインパクトを与えていると感じる瞬間を味わえていることが醍醐味です。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:[1]Story Tellingのスキル
[2]広報活動によるインパクトの効果測定や分析スキル
[3]“信頼されるコミュニケーション”プロフェッショナル
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:広報の関わる(が意識する)ステークホルダーの幅が広がり、リーチできる範囲も様々なツールの発展により変化している。メディアの環境がデジタル化の進展で変化し、SNSの発展で情報発信のされ方・経路なども大きく変化している。だからこそ、その企業の目指す経営の方向性・社会における責任に最適な広報活動がより求められている。FacebookやTwitterのアカウントを開設し、毎日色々な情報を発信することで満足するのではなく、そこから起きてくるインパクトは何か、そこから見えてくるインサイト、そこから生まれる効果などが今後はより重要になってくると感じています。特に、情報発信手段が多様化している中で、企業としてのメッセージ発信の戦略策定や徹底などが非常に重要視され、広報という部門が社内におけるサービス部門ではなく、コミュニケーションにおける戦略部門・リーダー的な存在であるべきです。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:技術の進歩により、色々な広報手段が拡大しています。そんな中、最も重要なのは「コミュニケーションのプロとしての信頼」だと思います。ぜひ人間力を磨いて、プロフェッショナルな広報担当を目指してほしいです。