この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
キングジム 広報室 リーダー 三浦なずな(みうら・なずな)2006年キングジム入社。広報室に配属後、社内広報、CSR活動、IR、広告宣伝業務に従事。現在は、企業活動および商品の報道対応全般、記者発表会・イベントなどの実施、ソーシャルメディアを活用したコミュニケーションプランニングを担当。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:意志あるところに道は開ける/広報の仕事は想定外の繰り返しですが、それが醍醐味でもあります。どんなに困難なことでも、諦めずに努力すれば達成できますし、やり遂げる意志があれば必ず結果がついてきます。5年後、10年後に辿り着きたい目標やイメージを持つことを大切にしています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:消費者の商品購買に直接結びつくような露出はやりがいを感じます。6年前に担当したテレビ取材は、初めての密着取材で体力的にも根気のいる仕事でしたが、放送では当時ヒットしていた、デジタルメモ「ポメラ」の話題を中心にキングジムの開発理念が紹介され、視聴者から好意的な感想が多く寄せられました。「ポメラ」は検索サイトの急上昇ワードに上がり、番組終了時から販売台数が加速しました。また、社員からは「家族が喜んでいた」「自分の勤務先の取り組みを家族に伝えられてうれしかった」と声をかけられ、思わぬところでブーメラン効果が生まれました。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)情報収集力・選択力(2)ネットコミュニティへの理解(3)マーケティングの発想
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:企業は消費者から曇りガラス越しに活動を見られていましたが、この10年間でネットメディアやソーシャルメディアが急速に発展を遂げたことで、企業の内部が見えやすい透明度の高いガラスに変化しました。社会からはより価値の高い情報を求められるようになり、広報活動においても当社のようなメーカーであれば、かつてはモノが主役でしたが、現在はモノに携わったヒトや開発背景、メンタルベネフィットなど多岐にわたります。今後は多様化する情報伝達手段や個人からの情報発信も意識し、長期的に多くの消費者と信頼関係を構築した上で、誠実かつ正確な情報発信をし、ブランド力やロイヤリティを高めていくことが必要だと考えています。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:広報の仕事は、一人で成長することが難しいとつくづく感じています。これまでもマスコミの皆さんをはじめ、多くの方に支えられ、様々なことを教えていただきながら仕事をしてきました。今後は感謝の気持ちを忘れずに、受け手の気持ちに響く情報が何かという原点に立ち返って、広報活動を続けていきたいと考えています。