この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
シスメックス コーポレートコミュニケーション本部関西大学文学部卒業後、シスメックス入社。上場準備室を経て、1995年よりIR業務に従事。その後、IRに加え、広報(社内広報含む)、ブランド管理、ウェブマネジメントを担当。創立40周年の2008年には、ロゴ刷新プロジェクトにも参画。
|
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:「一期一会」/一生に一度だけの貴重な機会。茶道の心得から出た言葉であり、その日の茶会での出会いは一生に一度しかなく、それを大切に誠実な心で人と接するべきである。広報は様々な人と接することが多い仕事であり、各メディアの記者の方々はじめ、その出会いを大切にしながら誠実に対応するように心がけています。相手が求めているものを理解し、有用な情報を積極的にお届けし、良好な関係構築につなげたいと考えています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:「神戸マラソン」の開催が決まり、地元神戸への地域貢献と人々の健康を支えるヘルスケア企業として特別協賛を決定しました。大会を全社でどのように盛り上げていくのか、この機会を活用して企業認知度をいかに高めていくのか、何もかも初めてのことであり試行錯誤の連続でした。マラソン前日はヘモグロビン測定でランナーをサポートし、当日はボランティアとしてサポートする人、走る人、沿道で応援する人など、従業員が一丸となり大会を盛り上げました。従業員の一体感の醸成と認知度の向上に貢献できたと思います。「シスメックスのおかげで地元神戸の街を走ることができて嬉しい。ありがとう!」というメッセージには、胸が熱くなりました。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:[1]情報発信力 [2]情報収集力 [3]関係構築力・コミュニケーション力
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:グローバル化・ICTの進展、企業の社会的責任への関心の高まりなどにより、広報の役割も拡大し、メディアのみならず多様なステークホルダーとのコミュニケーションがより重要となってきました。広報は、企業が社会に存在する意義をはじめ様々な情報を発信するとともに、社会が抱くブランドイメージを経営へフィードバックすることにより、ブランド価値向上につなげる役割を担います。また昨今、財務情報に加え、見えない価値である非財務情報が重要視される傾向にあります。今後はE(環境)S(社会)G(ガバナンス)においても、広報、IR、CSRが一体となり経営をサポートし、企業価値向上につなげる重要な役割を担うと考えます。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:自分のコメントがメディアに掲載される、イベントで市民や株主様からお礼の言葉をいただくなど、感動を体感できます。リスク発生時の対応など重責を担う仕事でもありますが、自分で考え動くことができる素晴らしい仕事です。これからも『広報会議』で色々と学び、独自の広報活動につなげていきたいと思います。