この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
ベクトルグループ プラチナム 代表取締役 吉柳さおり(きりゅう・さおり)ベクトルグループ取締役。大学在学中に独立系PR会社のベクトルにアルバイトとして入社。大学卒業後に同社へ入社。2002年に26歳でベクトル取締役、04年にベクトルコミュニケーション(現プラチナム)代表に就任。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:全ての道は広報に通じる/インプットした情報、人に出会った時の新しい視点の話、公私にかかわらず五感で感じた体験、課題を解決する戦略やソリューションが無限にあるPRを手がけるPRマンにとって毎日自分に起きることすべてが広報の戦略やソリューションにつながっています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:過去のキャリアにおいては、以前は世界初、日本初の事象を手がけたり世の中を驚かせるユニークな施策で海外の広告祭で賞をとるような分かりやすい成果がやりがいでした。今の醍醐味ややり方は一見とても地味でロングタームで、ブランドや商品のポジショニングを変えることで年間の昨対比売上増を狙ったり事業を創造するといった、点ではなく「線」的な活動が多いので派手ではないのですが、そういう成果はやりがいがありますね。日本を代表する大企業の黒子として新たなポジショニングを築いていくのも、アーリーステージのベンチャーを広報だけでなく事業コンサルの立場で支援し、すごいスピードで成長するのを見るのも両方やりがいがあります。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)事業創造スキル(2)IoT(Internet of Things)またはその逆が理解できる視点(3)グローバル
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:日本では発信機能、パブリシティという意味合いが強かった広報の定義は大変革したと思います。企業と社会が求めるニーズや課題を見つけ、企業や商品がその社会的課題を解決するソリューション的存在となるにはどうしたら良いか、まさしく本来の意味の顧客や社会とどのようなリレーションをつくっていくかが争点になってきています。そのために経営戦略をどうするか、どのような商品をつくれば良いか、どのようなコンテンツをつくるべきか、事業視点でのクリエイティビティが求められるようになりました。ステークホルダーといわれる人々と仲良くなるにはどうしたら良いか、それを挑戦→検証→改善をスピードを持って繰り返していく。経営と一緒ですね。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:広報の仕事は、すごくエキサイティングで楽しくなってきていると思います。また広報ほど担当のエネルギーで結果の成否が変わってくる仕事はないのでは?と思います。いかに広報で成果を出し、広報が事業創造に貢献できるか、マネジメント層にコミットメントできるかで手腕が問われるので、ぜひ前に出て頑張ってください!