この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
日本オラクル 広報室 室長 石川純子(いしかわ・じゅんこ)2001年に日本オラクルに入社以来、約14年にわたり企業広報に携わる。企業広報、イベント広報、製品/ソリューション広報、事例広報、ソーシャルメディアなど幅広く経験し、2013年3月より現職。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:広報活動の結果は99%事前の準備で決まっている。完璧を追求するための準備と努力を怠ってはいけない。/広報活動が成功するか否かの99%は準備段階で決まっています。残り1%は本番の状況に影響されますが、土壇場でも臨機応変、柔軟に対応できる自信、度胸と集中力も必要。これも日ごろの訓練から養われるもの。完璧を追求するための準備を怠ってはいけないと考えています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:IT系媒体に入社された新卒の記者の方が、編集長のご推薦もあり、私のところにIT業界全般とオラクルについて一般的なことを勉強させてほしい、といらっしゃったことがありました。1990年代後半まで遡ってIT業界の変遷、最新の動向やオラクルの戦略、会社・製品概要、市場での位置づけなどをご説明しました。何年か経った後、その記者の方に「あのとき教えてもらったことはとても印象的でした。広報というと石川さんのイメージが強い」と言われたときは、責任の重大さと人に何かしらの影響を与える立場であることを改めて認識し、広報のやりがいを感じました。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:[1]文章力、特にストーリー仕立ての執筆力 [2]情報発信力 [3]グローバル・コミュニケーションスキル
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:紙媒体、オンライン媒体、テレビ、ソーシャルメディアなどチャネルはますます多様化しているものの、その根本にある「市場とのコミュニケーション」という広報の役割は変化していません。おそらく人類が存在する限り変わることはないかもしれませんが、コミュニケーション手法は今後も変遷を辿るのではないかと思います。メディア対応を主眼としていたときの画一的な情報提供にとらわれるのではなく、「誰とコミュニケーションをとりたいのか」ということと、ターゲットを意識したチャネルの選択、さらにはそのチャネルとターゲットに合ったコンテンツづくりをより深耕し、迅速に展開できるようにしていくことが必要でしょう。