この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
東京片岡英彦事務所 代表取締役 片岡英彦(かたおか・ひでひこ)日テレ、Apple、MTV、マクドナルド、mixiを経て、片岡英彦事務所を設立。企業の戦略PR支援を行う。2011年、国際NGO「世界の医療団」広報責任者。4月から東北芸術工科大学 准教授/広報部長に。宣伝会議「戦略PR講座」を長年担当。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:(カップに)とどかなければ、入らない。(Never up Never in)(トム モリス)/ただ強く打てば良いというわけではないですし、カップを越えていったボールも100%入らないのです。でも、最初からショートさせて刻んで入れるより、一打でチップインする勝負をこれからも続けていきたいです。ゴルフではなく「広報」の話です。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:「東京ドームで5万人から一斉に“どよめき”が起こる」「日本中のメディアが一日中(良くも悪くも)自分のプロジェクトを話題にする」「“憧れ”の人とまさかのシチュエーションで会える」「一度関わってみたかったブランドの広報をさせてもらえる」「尊敬する人から、思いがけず声をかけていただき仕事がご一緒できる」「まったく使えなかった英語を使い、いつの間にか国際会議でプレゼンをしている」「同じ志を持った優秀な仲間たちが自分の周りに集まってくる」「何も分からなかった自分より若い方々が成長し、ビックプロジェクトの広報担当となる」。細かい失敗や、後付けの理屈はともかく「広報」の仕事は本当に楽しいことだらけですよ。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)胆力(2)クリエイティビティ(3)カスタマーインサイト
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:とかく自社の論理を優先しがちだった広報部門も、最近は社内外の合意と共感を得られなければ、物事を前に進めることが難しくなってきました。広告部門に比べて外部リソースの有効活用が比較的遅れてきましたが、今後は社内外の視点や人的リソースを取り込むことでダイナミックな活動が求められます。「共通価値の創造(CSV)」「グローバル広報」「サステナビリティ」が広報担当者の素養としては必須となるでしょう。ただ、それほど難しいことだとは思っていません。広報活動が社会活動と一体化していくわけです。つまりは、「良き社会人」=「良き広報担当者」ということになります。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:まだまだ私も若うございます。上の世代の方にも下の世代の方にも負けはしません(尖るところは尖る広報をこれからも心がけて参ります)。