危機意識の低下を防ぐための視点
五国繊維が兵庫化学から買収した姫路工場の敷地で、殺虫剤に含まれるメチルパラチオンが検出された。本社広報部の会沢琢也が現地の総務部長・江中文彦から聞き取りを行っている最中、暁新聞姫路支局の和田元太が取材に訪れる。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
五国繊維が兵庫化学から買収した姫路工場の敷地で、殺虫剤に含まれるメチルパラチオンが検出された。本社広報部の会沢琢也が現地の総務部長・江中文彦から聞き取りを行っている最中、暁新聞姫路支局の和田元太が取材に訪れる。
繊維業界大手の五国繊維株式会社は、生産量の増加と輸送コスト低減を狙い、化学薬品企業・兵庫化学の姫路工場を買収。警備員の山嵜光太郎が深夜の見回りをしたある日、使われていないタンク付近で異臭に気付く。見ると、地面に謎の液体がにじんでいた。報告を受け、本社から広報の会沢琢也らが現地へ向かった。
【あらすじ】広大な敷地に咲き誇る花々を楽しむ屋外イベント「エレガンスガーデンフェスタ」。今年も多くの人で賑わっていたが、閉幕まで20日足らずのタイミングで、巨大台風が接近。広報を担当する駿河広告の松田洋一は、会場のI市を直撃する可能性を想定した対応に追われていた。そして安全確保のため臨時休園を決める。
東海地方のI市で3年前から開催されている「エレガンスガーデンフェスタ」。夏から秋にかけて鮮やかに咲き誇る花々を楽しむ屋外イベントの広報を務める駿河広告の松田洋一。SNSでの広報活動が実を結び、来場者数は15万人を超えていた。会期終了まで残り1カ月。ここ数年で最大といわれる台風が近づいていた。
太洋旅行名城支店の春名美香がツイッターで会社の経営危機を告発し、退社してから三カ月。ツイッターでは“MIKA”というアカウントが再び同じ内容をつぶやいていた。同じころ、広報部に移動した花岡冬樹のもとに一本の電話が入る。音信不通だった春名とようやく対面できた花岡。春名が投稿の真意を語り始めた。
「当社の経営が重大な局面を迎えております」。ツイッターで太洋旅行名城支店の春名美香が突然告発した。国内旅行部門の花岡冬樹はアカウントの乗っ取りを疑うが、同期の海藤志朗からある事実を告げられる。それは、日本を代表する旅行会社の太洋旅行が来年、事業停止する可能性が高いという衝撃の内容だった。
暁新聞山形支局の古川達彦によって報じられた旭郵便の保険不正販売問題。マスコミ対応を避ける経営企画部長の桜井慶四郎や他人事の上層部に失望した広報室の井野久太は、本社に殺到したメディアへのブリーフィングであえて事実を伝えた。その結果、追及はさらに加速し社長による記者会見が開かれることになった。
旭郵便による保険の不正販売問題で「伝言屋の広報」と揶揄された広報室の井野久太は、会社にも自分の仕事にも疑問を感じていた。暁新聞山形支局の古川達彦が書いた記事は全国版の一面で報じられ、井野たちはマスコミからの厳しい追及を受ける。しかし、経営陣たちは善後策を考える素振りさえ見せずにいた・・・。
白に覆われていた山々に目をやると山肌がちらほら見える季節になった。道端には蕗の薹(ふきのとう)が芽吹き始めている。春の爽やかな風がペダルを漕ぐ男の頬を撫でていく。「のどかでいいな・・・・・・」自転車を走らせながら優しい気持ちになると同時に、罪悪感が襲ってくる。
大富士電力を揺るがす癒着疑惑。「事実はない」と言い張る会長・安東清太郎の言葉が会社の方針になりつつある状況に、広報部長の三浜康太郎は呆れていた。広報部の新井田岳は暁新聞の鮫島幸一記者から「詳細な証拠がある」と告げられる。三浜は鮫島を会社に招き証拠資料に目を通したあと、ある相談を持ちかける。