廃れた地方の温泉地 再生に向けた広報施策〈中編〉
温泉地として知られていたものの、バブル崩壊後は人の流れが途絶えてしまった石鍋市。誘客に悩んでいた観光協会の大佐古茂と姫川雄太のもとに、「3Dアーティスト」という集団で活躍する朝日奈玲がある提案を持って訪れる。その企画に大きな可能性を感じた大佐古は、商店街組合の理事たちに提案するが……。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
温泉地として知られていたものの、バブル崩壊後は人の流れが途絶えてしまった石鍋市。誘客に悩んでいた観光協会の大佐古茂と姫川雄太のもとに、「3Dアーティスト」という集団で活躍する朝日奈玲がある提案を持って訪れる。その企画に大きな可能性を感じた大佐古は、商店街組合の理事たちに提案するが……。
国内で5本の指に入る湯量が売りの石鍋市。かつて多くの人で賑わった温泉地も、バブル崩壊後は人の流れが途絶えていた。観光協会の大佐古茂と姫川雄太、アルバイトの川北夕子は危機感を募らせる。そしてある日、大佐古は商店街組合の理事会である提案をする。それは2日間で1万人を呼ぶイベントの開催だった。
子会社の内部告発により、取引先の顧客データの流出と不正売買が明らかになった大阪データ通信。広報室の香川涼介は、三ノ宮新聞のエース記者・富樫健太郎からメディアに告発文が届いていることを告げられる。一方、事件の関係者を集めて事実確認を行った広報室長の広重亮二は、密かにある覚悟を決めていた。
顧客情報管理やセキュリティシステム開発を手がける大阪データ通信。内部告発により、顧客管理を代行させていた北梅田サービスの子会社・山野辺セキュリティシステムから顧客データが流出・不正売買されていることが発覚。対策に追われる広報室の香川涼介のもとに、一本の電話が入る。
創業から40周年を迎えた大阪データ通信。銀行やクレジット会社などの顧客情報管理やセキュリティシステムの開発を手がけている。静岡支社から大阪本社の広報部へ単身赴任中の香川涼介はある日、同僚の名志村仁と立ち寄ったカフェで、システム開発部の社員の「データが売られている」という言葉を耳にした。
巨大温泉ホテル「彩亭」の改革に取り組むことになったPRプランナーの美河沙理奈。まずは地元でのリアルな評価について聞き取りを始める。その結果に宿泊部長の西野裕也らは眉をひそめる。否定的な言葉や言い訳ばかり出てくる会議の場で、沙理奈は言葉に力を込める。すると、社長の安藤康江が口を開いた。
東北で最も行きたい温泉ホテルといわれる「彩亭」。友人たちと訪れたPRコーディネーターの美河沙理奈は、閑散とした様子が気になっていた。宿泊部長の西野裕也とスタッフの滝田久一郎が集客に頭を悩ませる姿を目撃し、思わず声をかける。すると、西野の希望でチェックアウト前にあらためて話をすることに。
273室の客室を有する「彩亭」は、新型コロナウイルス感染症の影響によって客足が遠のき、苦境を迎えていた。スタッフの滝田久一郎や恵藤耕太がため息をつく中、宿泊部長の西野裕也は変革が必要だと感じていた。宿泊客として訪れていたPRコーディネーターの美河沙理奈も閑散とした宿の状況に違和感を覚え……。
研究所での爆発事故を受けて先輩の川田泰三と熊本へ飛んだ広報の日向龍太郎。記者たちの前で初めての状況説明を終えた直後、社長発見の一報が入る。爆発の原因も分からない状況で、川田は1時間おきのブリーフィングを繰り返す。いつしか日向の言動にも変化が起きていた。そして、記者会見を開くことが決まった。
烏帽子化学の阿蘇研究所で発生した爆発事故。東京本社広報部の川田泰三と日向龍太郎はすぐに現地へ飛んだ。研究所内にいた78人のうち、安否不明者は8人。その中には社長の藤田梁山と研究所所長、そして日向の同期である江藤十夢も含まれていた。研究所から200m離れた規制線の前でメディア対応が始まる。