メディアと暴力組織の癒着 地に墜ちた暁テレビの信頼〈後編〉
暁テレビの役員である伊佐山薫と風間武比古が暴力組織の緑星会と親密な関係であることを示す写真が大東京新聞社会部に届く。暁テレビ広報の永瀬誠は記者の大里真由子から問い合わせを受けるが、何も知らされていなかった。永瀬が疎外感を感じる中、大東京新聞は第一報を報じる。そして暁テレビは会見を聞いた。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
暁テレビの役員である伊佐山薫と風間武比古が暴力組織の緑星会と親密な関係であることを示す写真が大東京新聞社会部に届く。暁テレビ広報の永瀬誠は記者の大里真由子から問い合わせを受けるが、何も知らされていなかった。永瀬が疎外感を感じる中、大東京新聞は第一報を報じる。そして暁テレビは会見を聞いた。
【あらすじ】暁テレビ情報局次長の美波徹のもとには、毎日何通もの内部告発や情報が届く。しかし、そのほとんどがガセネタだった。ある日、暴力組織・緑星会の組長らが写った集合写真とメモが届く。そこには暁テレビ常務の伊佐山薫と執行役員の風間武比古の姿もあった。美波は部長の富樫賢治に伝え、専務の泊佐斗司に報告する。
五国繊維が兵庫化学から買収した姫路工場の敷地で、殺虫剤に含まれるメチルパラチオンが検出された。本社広報部の会沢琢也が現地の総務部長・江中文彦から聞き取りを行っている最中、暁新聞姫路支局の和田元太が取材に訪れる。
繊維業界大手の五国繊維株式会社は、生産量の増加と輸送コスト低減を狙い、化学薬品企業・兵庫化学の姫路工場を買収。警備員の山嵜光太郎が深夜の見回りをしたある日、使われていないタンク付近で異臭に気付く。見ると、地面に謎の液体がにじんでいた。報告を受け、本社から広報の会沢琢也らが現地へ向かった。
【あらすじ】広大な敷地に咲き誇る花々を楽しむ屋外イベント「エレガンスガーデンフェスタ」。今年も多くの人で賑わっていたが、閉幕まで20日足らずのタイミングで、巨大台風が接近。広報を担当する駿河広告の松田洋一は、会場のI市を直撃する可能性を想定した対応に追われていた。そして安全確保のため臨時休園を決める。
東海地方のI市で3年前から開催されている「エレガンスガーデンフェスタ」。夏から秋にかけて鮮やかに咲き誇る花々を楽しむ屋外イベントの広報を務める駿河広告の松田洋一。SNSでの広報活動が実を結び、来場者数は15万人を超えていた。会期終了まで残り1カ月。ここ数年で最大といわれる台風が近づいていた。
太洋旅行名城支店の春名美香がツイッターで会社の経営危機を告発し、退社してから三カ月。ツイッターでは“MIKA”というアカウントが再び同じ内容をつぶやいていた。同じころ、広報部に移動した花岡冬樹のもとに一本の電話が入る。音信不通だった春名とようやく対面できた花岡。春名が投稿の真意を語り始めた。
「当社の経営が重大な局面を迎えております」。ツイッターで太洋旅行名城支店の春名美香が突然告発した。国内旅行部門の花岡冬樹はアカウントの乗っ取りを疑うが、同期の海藤志朗からある事実を告げられる。それは、日本を代表する旅行会社の太洋旅行が来年、事業停止する可能性が高いという衝撃の内容だった。
暁新聞山形支局の古川達彦によって報じられた旭郵便の保険不正販売問題。マスコミ対応を避ける経営企画部長の桜井慶四郎や他人事の上層部に失望した広報室の井野久太は、本社に殺到したメディアへのブリーフィングであえて事実を伝えた。その結果、追及はさらに加速し社長による記者会見が開かれることになった。
旭郵便による保険の不正販売問題で「伝言屋の広報」と揶揄された広報室の井野久太は、会社にも自分の仕事にも疑問を感じていた。暁新聞山形支局の古川達彦が書いた記事は全国版の一面で報じられ、井野たちはマスコミからの厳しい追及を受ける。しかし、経営陣たちは善後策を考える素振りさえ見せずにいた・・・。