夢の街創造委員会(大阪市)が運営する宅配ポータルサイト「出前館」は、6月3日、宮城県仙台市で、配達機能を持たない飲食店の出前を可能にする「シェアリングデリバリー」を開始した。配達は朝日新聞仙台中央販売(宮城・仙台)が担当する。
サービス開始の経緯について、夢の街創造委員会広報チームの小宮栞穂里氏は、「出前のニーズがあっても、出前対応店舗が少ない地域があったり、注文できる料理のジャンルが偏っていたりと、お客さまに満足いただけていない状況にありました。一方、出前を提供する飲食店側では、『配達員を確保できないから自社で出前はできない、出前館には加盟できない』というジレンマも。その両方の課題を解決すべく、今から3、4年前に始まった企画です」と話す。
2016年夏ごろから実証実験を開始し、同12月には朝日新聞社との業務提携を発表。17年から首都圏でサービスを開始した。現在では関東、関西、福岡、中京、北海道でも展開している。
新聞販売店を協業先に選んだ理由は「配達のプロであるため、そのノウハウが十分に蓄積されていると考えました」(小宮氏)。新聞配達の空き時間を利用し、新規事業を展開してもらうことで、新聞店にもメリットがあると見込んだ。現在では、新聞販売店のほかにも、地域密着型で事業を展開する企業もパートナーに。配達拠点数は、6月末時点で、全国で172拠点となった。現状「出前館」の仙台拠点では、朝日新聞仙台中央販売のみが配達を担当している。
仙台拠点のオープン時には、想定の3倍近い注文があり、ソーシャルメディアでも「頼める店が増えてありがたい」といった声が寄せられた。利用者数も順調に伸びているという。
「市場の活性化、地域の利便性向上につながると考えています。日本全国どこからでも出前が頼めるように、引き続きサービスの向上を目指します」(小宮氏)