製造工場で起きた爆発事故 向き合わざるを得ない現実〈後編〉
宇都宮にあるトーミョー食品の工場で起きた爆発火災の対応に追われる総務部課長の森川遼。社内では途中から情報が錯綜し、平時につくられたマニュアルは現実と乖離していた。爆発から4時間以上が経った頃、本社から製造部と広報部の担当者が到着。広報担当者の的確な言動に、森川の意識も変化していく。
「まさかのクライシス発生!あなたならどう対応する?」 小説で学ぶ、危機広報。
宇都宮にあるトーミョー食品の工場で起きた爆発火災の対応に追われる総務部課長の森川遼。社内では途中から情報が錯綜し、平時につくられたマニュアルは現実と乖離していた。爆発から4時間以上が経った頃、本社から製造部と広報部の担当者が到着。広報担当者の的確な言動に、森川の意識も変化していく。
トーミョー食品宇都宮工場の製造棟で起きた爆発と火災。従業員2人が負傷し、意識不明のまま搬送された。総務部長の丹後圭司の指示で課長の森川遼はメディア対応に向かう。記者たちから矢継ぎ早に繰り出される質問に、森川はまともに答えることができなかった。中途半端な自分を恥じた森川は、情報収集に動き出す。
2年前、東京のトーミョー食品本社から宇都宮の工場へ異動した総務部課長の森川遼。ある朝、部下の川瀬雄太から信じられない連絡が入る。それは、工場の製造棟で爆発が起きたというものだった。総務部長の丹後圭司らは対策本部を設置する。しかし、かつて作成された危機対応マニュアルを活かす者はいなかった。
副社長を含む3人の役員による粉飾決算が明らかとなった浅津電気。ついに地検による強制捜査が入った。広報部の川北琢磨は逮捕された3人が連行される姿をテレビ画面で見ながら無力感に襲われる。そして200人以上のメディアが集まった記者会見で、社長の小石川雄作は想定問答とは違う回答を口にしはじめた……。
浅津電機の実態について口を開いた、下請け企業の社長が自殺した。暁新聞社会部デスクの長門俊平は、共に取材を進めていた杉下祐作、赤塚周大と通夜に参列する。その帰り道、部長である籠原真治の指示で、3人は浅津電機本社へのガサ入れを取材すべく動き出す。同じ日の夜、浅津電機では緊急会議が開かれていた。
暁新聞社会部に届いた複数の告発文から、長門俊平や杉下祐作、赤塚周大らは浅津電機の闇を暴くべく動き出す。杉下らの熱意に、下請け企業の社長や社員たちも、少しずつ重い口を開き始めていた。その頃、浅津電機の広報部次長である川北琢磨は、ある違和感から最悪の事態を想定していた。そして状況が動き出す。
暁新聞社会部の杉下祐作のもとに届いた1通の封筒。中には浅津電機株式会社に対する告発文。普段は「そんなもんほっとけ」と言うデスクの長門俊平が珍しく興味を示す。実は長門のもとにも別の企業から同様の告発が届いており、さらに別の2社からも同様の告発が寄せられた。そして1カ月後、杉下たちが動き出す。
県庁の広報課職員である宮城健太は、高校時代に土砂災害で母を失った。その経験から、危機対策統括委員会で職員の危機管理意識を煽り、県知事の花形誠司にも熱く訴え、危機対応マニュアルの作成を任され完成させた。そして突然起きたマグニチュード8.1、震度7強の大地震。そのとき、宮城のマニュアルは……。
危機対策統括委員会で危機対応マニュアルの必要性を訴える宮城健太の姿に、渋面をつくる危機管理統括部の職員たち。そのとき、県知事の花形誠司は宮城に具体策について話すよう促す。ひとしきり話を聞き、宮城にマニュアル作成を進めるよう指示を出した花形は、「申し訳なかった」と頭を下げる。その真意は……。
【あらすじ】 15年前、高校時代に起きた土砂災害で母を失った宮城健太は...