この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 広告会社マッキャンエリクソンにて営業職5年。その後、シラキュース大学にてPublic Relationsの修士号を取得。帰国後、大阪世界陸上、東京2016招致、ITU国際トライアスロン連合、東京2020招致を経て、2014年1月より現職。
|
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:座右の銘というと大げさかもしれませんが、「広報=ゴールを達成するための人生哲学」でしょうか。日本では、広報=情報発信、という狭義で広報が捉えられがちと感じます。自分自身、広報に出会ってこの世界の仕事に恵まれたこともあり、組織・個人がゴールを達成するための組織論・哲学という広義の広報の概念が社会において広がるよう、尽力したいです。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:東京オリンピック・パラリンピック招致!! 招致委員会の中で、戦略広報部はいつも組織の意思決定に深く関与し、プレゼンテーション制作やメディア対応などのコミュニケーションの全責任を負って、招致成功に大きく貢献したという実感がありました。IOC、国際スポーツ界の課題意識に対して、「社会におけるスポーツの価値向上に貢献する」という東京2020のプレゼンはピンポイントで刺さり、招致成功の大きな原動力になったと評価されました。ブエノスアイレスのIOC総会会場で最後に、総理大臣を含むプレゼンターの皆さんに並んで記者会見に登壇したことは一生忘れないと思います。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)倫理観(2)好奇心(3)度胸
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:広告会社のバックグラウンドに加え、広報のスキルを得て、国際スポーツ界で仕事をしていきたいと思ってからちょうど10年経ちます。あのころ、広告不況と言われた時代で広報・PRがにわかに注目されはじめたと記憶していますが、それでもプロモーションの手法としての広報が注目されたのであって、ゴールを達成するための組織論としての広報は、今の時代においてもまだまだ認識が浅いと感じます。広報が意思決定の真ん中で活躍すると組織は強くなる、そういう広報の価値をもっともっと社会に広めていくことが、この仕事に携わる我々の大切な役割と思います。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:広報マインドを持つ人が増えると、もっと世界は良くなる!そういう信念をもって仕事に取り組む広報パーソン、この業界を目指す人が増えるよう、今の仕事においても尽力していきたいと思います。