この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
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クラレ 経営企画室 IR・広報部 部長 井出章子(いで・あきこ)1987年入社。入社後12年間、財務部で資金調達・運用業務に従事。その後2年間休職し大学院でスポーツ医学を学んだ後に復職、新事業開発本部で新規ポリマーの事業開発を7年間担当。次に5年の上海駐在を経て2013年5月にIR・広報部に帰任し、2014年4月より現職。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:今日は昨日よりもクリエイティブに。/当社は、「世のため人のため、他人のやれないことをやる」という企業文化を有しており、独創性を重んじています。IR・広報部の仕事に決められたやり方はありませんので、常に新しい価値創造を目指し取り組みたいとの思いでこの言葉を胸に刻んでいます。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:私自身はIR・広報部歴が浅いため、社内の他セクションで広報の力を感じた経験を話します。新規ポリマーの事業開発を行っていたとき、製品の開発状況をリリースしたことがあります。リリース前はターゲット顧客への紹介や横展開を主に進めていましたが、リリースをきっかけに思いもよらない業種の方や考えていなかった用途でのお問い合わせをいただきました。メディアの情報伝播力を強く感じると同時に、固定観念を超えて発想を広げることの大切さを実感しました。翻って今は、社内の仲間に同様の体験をしてもらえるようにメディアの力を上手くお借りしたいと考えています。 自分が携わった仕事を多くの人に伝えられることは、非常に魅力的なことです。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:[1]構想力 [2]論理的思考 [3]コミュニケーション能力
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:企業の社会的責任を問う声が年々高まる中、企業の透明性を確保するためのパブリックリレーションズの役割がこれまで以上に求められてくると思います。また、当社もそうですが企業の海外展開が広がるごとに、企業の社会的責任も全世界に広がって行きます。日本国内のみならず、展開している各国におけるパブリックリレーションズも重要になると考えます。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:モノづくりの世界から転じた私には、リアルでない広報は捉えきれないものであります。一方、決まった形がないだけに無限の可能性を感じる仕事でもあります。広報パーソンとしてのありたい姿を実現するために、五感を総動員して想像力を高め、自分ならではのコミュニケーションを実現しましょう。