THEME
マーケティング"×デジタル"が創造する顧客視点の経験価値
~先進企業事例にみる"×デジタル"10の法則~
今この時代に求められているのは"デジタル"で相乗する経験価値
マーケティング戦略において"デジタル"はもはや欠かせないキーワードとなっているが、トライベック・ストラテジー 代表取締役社長の後藤 洋氏は、「デジタル化に振り回されてしまっては、目の前の生活者のニーズを見落としてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らす。
「主役は常に生活者。企業と生活者との、あるべきコミュニケーションに"デジタル"をどう掛け合わせ、生活者にどんなエクスペリエンスを提供できるか。この考え方が、"マーケティング4.0=自己実現の時代"の今だからこそ、特に重要ではないでしょうか」。
そして後藤氏は、この時代に必要なマーケティング"×デジタル"という考え方におけるポイントについて、自社でまとめた『先進企業事例にみる"×デジタル"10の法則』の中から3つを取り上げて説明した。
1つ目は、『デジタルを通じてブランドの世界観を表現する』こと。事例にあげたのは、アパレル業界の中でいま最も勢いのある、インディテックス社が展開するファッションブランド「ZARA」。
「"ファストファッションでありコレクションブランドである"という明確なブランド姿勢を持つZARAは、『×デジタル』においても、ルック中心の表現でそれをしっかりと際立たせており、他社とは一線を画しています。ブランド×デジタルは、ブランドの本質をどう表現するかによって、生活者への伝わりやすさが大きく変わるのです」と、後藤氏は指摘する。
2つ目は『顧客体験価値最大化のためのコンシステンシー』だ。「生活者は、企業のWebサイトに信頼を寄せています。だからこそ、×デジタルをハブとして機能させることは非常に重要なのです」。
この事例として後藤氏はNTTドコモが運営する動画配信サービスの「dTV」を取り上げ、「ストーリーのあるCMで人を引き込み、×デジタルの中で、ユーザーの単純な疑問にしっかりと答えています。このシンプルな導線設計が、ハブとしての×デジタルにおいては大事であり、好感につながる理由です。×デジタルの中で、"コミュニケーションのコンシステンシー=一貫性"が担保できるか否かが、行動の後押しや、信頼の醸成に関わってきます」。
3つ目は『マーケターはデジタルとどう向き合うべきか』。ここでは宅配事業を事例に説明した。
「近年、宅配戸数の異常な伸びと、それに伴う宅配業者が負担してしまう労働へのインパクトが取り沙汰されていますが、単純に効率化を図るだけでなく、背景にある生活者のライフスタイルや価値観の変化を基に、より生活者のインサイトにささる×デジタルを考えていこうという流れが多く出てきています。その例が、ロボネコヤマト、Amazonフレッシュ、UberEATS(ウーバーイーツ)など。これらは、顧客ファーストの視点で、宅配への付加価値を高めようという発想の転換から生まれた先進事例です」。
後藤氏は、「生活者の良質なエクスペリエンスや、ポジティブな行動を生み出すには、企業は経営理念やヴィジョンをしっかりと体現しなければならない。いま一度立ち止まり、自分たちはどんな企業で、どんな価値を提供すべきなのかを見定め、マーケティング戦略に則り、×デジタルで何ができるのかを考え直す必要があるのではないか。複雑な状況だからこそ、シンプルに分かりやすく可視化していくことが重要」とまとめた。
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