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売上40%アップを実現したUX観察の新手法
~データ活用の常識が変わる「デジタル行動観察」~
顧客ごとにデータを分解し体験を可視化する
ビービット エグゼクティブマネージャ エバンジェリストの宮坂 祐氏が冒頭で取り上げたキーワードは、最近頻出している「デジタライゼーション」だ。スマホの利用によって消費者は常時オンライン接続されるようになり、企業の顧客接点は爆発的に増えた。そこから膨大な情報が得られるようになったという。
「デジタライゼーションとは、一言でいえば"モノからコトへ"の流れを促進させるもの。以前はお客さまとモノを介してコミュニケーションを取るしかありませんでしたが、今ではデジタルのコミュニケーションを通じてどんな体験をつくれるかが鍵を握っています」。
とはいえ、お客さまから集められたデータから有効な施策を生み出すことは想像以上に難しいという。宮坂氏はデータ活用に失敗してしまう理由を次の3つに分けて解説した。
「ひとつ目は"相関"と"因果"を取り間違えている場合。例えばデータ解析の結果、ECサイトで5回目の購入後に購買継続率が伸びているとします。だからといって5回目の購入を促す施策だけを行っても、ライフタイムバリューは高まりません。2つ目は施策の本当の効果はわからない、ということ。TwitterやInstagramなどの活用でさまざまなデータが集まってはいるものの、個別の施策の効果についてはよくわからないのが現状です。3つ目は、そもそもの問題設定を間違えている場合。お客さまの行動実態がわからないまま施策を打っても、実は消費者にとって余計なお世話だったということがよくあります」。
そこで宮坂氏が新たなデータ活用法として紹介したのが「デジタル行動観察」という手法だ。データを顧客一人ひとりに分解し、それらを時系列で見ていくのだという。これにより、どのデバイスからどういった人がいつコンバージョンしたのかがひと目でわかるようになった。そこから時間軸やセッションを跨いだ動きが捉えられるため、かなりのヒントが隠されていると宮坂氏。
「まずは顧客データベースから"ライフタイムバリューが高い人"などといったように、関心あるユーザーセグメントを切り出します。抽出した人の中からさらに10~20人を選び、過去のデータ上でどんな接触があったかをひとりずつ追いかけていく。一連の行動を観察する中で、お客さまはなぜこの商品を買ったのか?もしくは離脱してしまったのか?という行動のヒントが透けて見えてきます。それを10人も続けていくと、ある傾向が見えてくるんです」。
従来のデプスインタビューなどの定性リサーチを行うには、手間も費用もかかってしまう。その上、長期にわたる顧客行動を捉えるのは難しい。ところが「デジタル行動観察」を行うことのメリットは、過去データを顧客単位で簡単に引き出せることなのだという。
最後に宮坂氏は「デジタル行動観察」により大幅な改善のヒントが見つかった例として、カラーコンタクトレンズを販売するECサイトの事例を取り上げ、次のように紹介した。
「全体のデータから立てたはずの仮説が、顧客一人ひとりのデータを追いかけることで覆されることがあります。これは、お客さまの目線で行動を追体験することで、従来のWeb解析では見えなかったことが見えてくるから。お客さまの行動への解釈力を身につけることで、データを活用しつつ人間も介在しながら結果を出せるサイクルが生まれるのです」。
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