5月24日に宣伝会議で行われた「デジタル時代の顧客対応からエンゲージメントを高める、CRM戦略セミナー」。顧客対応こそが顧客と直接接点を持てる貴重な機会と捉え、国内外を問わず幅広い顧客に認められる企業の担当者が事例紹介を行った。
デジタルが進化を続ける今だからこそ 問われる顧客満足を高める施策とは
オープニングの基調講演を行ったのは、りらいあコミュニケーションズの江端 亘氏。デジタルシフトや自動化、オムニチャネルなどの対応について多くの企業が「推進している」と答える一方、顧客データの統合や有効活用に困難を感じている現状を紹介した。これらを打開するために江端氏が挙げたキーワードは3つ。
ひとつはCRM戦略の「グローバルスタンダード」対応。2つ目は多様なメディアとリアルチャネルとの融合により、ロイヤリティを高める「エンゲージメント」。3つ目がデジタル時代における予期せぬ発見を生む「セレンディピティ」だ。AIによる学習と外部データの組み合わせによりCX(カスタマー・エクスペリエンス)の最適化を図ることが可能だと語った。
第1部はフィリピンを拠点に多国籍企業へコンタクトセンターを軸としたCRM運用支援を行うSPi CRM社のアルフレッド・アントニオ氏が登壇。カスタマーセンターはもはや"コストセンター"ではなく、顧客とのつながりをより強化し、新たな収益を生み出す場と期待されると成功事例で示した。
第2部はTokyo Otaku Modeの小高奈皇光氏が登壇。SNSでバズを起こすことで1900万人もの海外フォロワーを獲得した事例を紹介。物販サイトへ誘導し、世界中の顧客を相手に越境Eコマースを行う手法を解説した。
第3部は室蘭工業大学教授の岸上順一氏が、スマートフォンブームの次はIoTが来ると語った。あらゆるデータをクラウドへアップし、デバイスからアクセスして利用する。そこにAI技術が導入されると自律的な判断が行われ、さらに高度なエンゲージメントが可能になるだろうと予測した。
続く第4部では「顧客対応でつくり出す、海外・世代を問わず愛されるブランド」をテーマにトークセッションが行われた。りらいあコミュニケーションズ 中込 純氏は「すでにグローバル企業は、コールセンターを顧客との関係を深め、ブランド価値を高めるための手段として有効に活用している」と述べ、国内企業との温度差を指摘。それを受け、オイシックス 奥谷孝司氏は「ブランドクオリティを高める上では、顧客サポートに力を注いでいる」と意見した。
次いでTokyo Otaku Modeの小高奈皇光氏が「タッチポイントで生まれるのがCS(顧客満足)。顧客の"好き"という感情にいかにクロージングをかけられるかが勝負」と述べた。
「顧客からの問い合わせに回答する際に少し質問を投げかけることで、会話のフルテキスト分析は、デプスインタビューと同様のスタイルとなる。得られたデータはユーザーの声そのものであり、パネラーで調査するものに比してリアリティがあるのではないか。今後研究を進めたい」と損保ジャパン日本興亜 坂上宗久氏が述べた。
最後にりらいあコミュニケーションズの中込 純氏は「顧客が想定したカスタマージャーニーから離脱する原因は、重大なペインポイントがあるから。部署間のつながりをシームレスにするだけでもCSは大きく向上すると知ってもらいたい」と締め括った。
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