店頭で用いられる販促ツールはいかに消費者の目に留まるかが重要な競争要件になる。しかし、実際にどんなツールであれば目に留まるのか、ツール制作段階では、判断する人の感性に委ねられがちだ。「視線予測サービス(VAS)」を活用した販促ツール、売り場づくりの勉強会を通じ、データを用いた販促ツール制作の可能性に迫る。
視線の動きを知ることでデータに基づく、意思決定ができる
「ダイレクトメールやチラシ、商品陳列やWebサイトなど、手間をかけつくったものが消費者に届いているかわからない」「どこが消費者に響くポイントになったのだろう」と悩む企業も少なくない。こうした課題解決に活用される広告効果検証を行うソリューションアプリ「視線予測サービス(VAS)」は、人の視点がどこに向けられているかを手軽に予測できるソリューションとして注目を集めている。
パン、和洋菓子の製造及び販売を行うフランソアもこのソリューションに興味を持つ企業のひとつ。同社営業本部 営業推進部 営業企画課 坂井智明氏は、VASに注目した理由を次のように話す。
「新パッケージをつくるたびにデザイン会社からデザイン案が2~3案届くのですが、個人の感覚を基に判断することが多いことに疑問を感じていました。
VASを活用することで、データに基づく視点を加えることができ、より効果的なデザインを選べるのではないかと考えています」。
加えて坂井氏は「お客さまの目線に立った分析ができる点にも魅力を感じた」と話す。
「売り場全体の写真を解析することで、お客さまが当社の売り場をどう見ているのかを可視化し、客観的に分析することができるようになるのではないかと考えました。これにより、よりお客さまの目線に売り場づくりが実現できる可能性を感じます。
同社では、インストアプロモーションや、POP作成、陳列棚の装飾を行う際にパッケージデザインや装飾のデザインコンセプトを統一し、一体感のある売り場づくりを意識しているという。パッケージ自体は基本的にシンプルなトーンで統一しながら、売り場全体を"面"で魅せる陳列にすることで、ブランドの世界観を伝えたいと考えているためだ。
しかしシンプルなトーンを貫く上では、迷いもあった。「他社の製品は派手なパッケージデザインのものが多いため、狭い売り場では視認性で負けてしまうこともありました。とはいえ、当社のブランドの世界観は崩したくない。今回、VASの勉強会に参加をしてみて、シンプルでありながらも、目を引くデザインや売り場づくりに使えるのではないかと感じました」と坂井氏は今後の活用可能性について考えている。
編集協力/株式会社フジテックス