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テレビメーカー4社の視聴データが可能にする テレビ・デジタル横断の新しいコミュニケーション

SMN

日本においてもインターネットに接続するテレビの台数が増え、それに伴い「Connected TV広告」の活用が始まっている。テレビメーカーが保有する視聴データを集約・活用することで、テレビCMとデジタルを横断したコミュニケーションを可能にするという新しい挑戦を行う、SMNの谷本秀吉氏と安田崇浩氏に話を聞いた。

拡大する「Connected TV」 2020年は日本でも102億円に

ソニーグループでマーケティング・テクノロジー事業を展開するSMNは2020年9月29日、日本最大級となるテレビ視聴データを活用した広告配信サービス「Connected TV Data Bridge(TVBridge)」を開始した。

ここでいうテレビ視聴データとは、インターネット接続により取得が可能となった全国の地上波、BS、一部のCSの視聴データのこと。具体的には国内大手テレビメーカー4社(ソニー、シャープ、パナソニック、東芝映像ソリューション)が製造し、現在インターネットに接続されている約500万台のテレビが取得するデータを活用している。

さらに、SMNが持つデジタルメディアの接触データ(スマートフォン、PC上で閲覧したWebやアプリの行動データ)を、専用のDMP「TVBridge DMP」に集約、管理することで、テレビCMとデジタルメディアを横断した広告配信の最適化を実現している。

「ソニーグループの傘下にあることから『ブラビア』の視聴データと当社のDSP『Logicad』と連携した広告サービスは存在していたが、1メーカーだけでは、データボリュームに不足があることと、生活者の特性にも偏りがあるという課題もあり、本格的な活用には至っていませんでした」とネクスジェンデジタル 代表取締役社長 兼SMN アドテクノロジー事業 事業戦略・商品企画担当 執行役員 谷本秀吉氏は話す。

同社の技術開発担当の執行役員である安田崇浩氏は、「もともと、テレビ視聴データは、各テレビメーカーが自社商品の改善などのため収集していました。そのデータの活用目的をメーカーには理解いただき、いまは同社とのサーバー間のシステム連携によって『TVBridge』に必要な広告データのみを提供いただいています」と話す。

テレビに着目した背景は他にもある。「米国ではすでに約6,800億円規模になっている『Connected TV広告』市場の潮流は、現在の市場規模が102億円と推定される日本にも必ず来ると考えています。今後、市場が拡大していく際に、当社が主導していきたい。生活者により良い体験を提供するため、メーカーの垣根を超えた新しい取り組みです」と谷本氏は話す。

広告による態度変容やブランドリフトも可視化が可能に

「TVBridge」は、メーカー4社から集約したテレビ視聴データを活用することで、番組やCMの視聴・未視聴でターゲットをセグメント化している。当該のテレビCMを視聴した層と未視聴な層へ、それぞれ別のデジタル広告を配信する、などの施策も実施が可能となる。「具体的には、テレビ番組・CMを視聴した家庭のテレビと近いところにあるスマートフォンやPCなどに広告配信が可能」と安田氏は話す。

「TVBridge」のサービスラインナップには、広告配信機能の「TVBridge Ads」と、TwitterやFacebookなどそれ以外の広告プラットフォームへ配信ができる「TVBridge DMP」がある。さらに同社の持つマーケティングAIプラットフォーム「VALIS-Cockpit」と連携することで、広告接触前後での生活者の態度変容や、ブランドリフト効果などが可視化できる。テレビ視聴ユーザーへの広告配信後に、特定のテレビ番組やテレビCMを視聴したユーザーが広告接触によって、どうWeb上の行動変化が起きたかの計測や可視化を行う。

より深い顧客理解ができるため、活用しているクライアントがほとんどだという。

「CMで認知を得た後、より購買への行動を喚起する上で、デジタル広告と組み合わせ、相乗効果を狙うことが重要です。そのCMとデジタルの広告投資を『TVBridge』によって最適に配分することができます。また、CMだけではリーチしていない未視聴層へのみ、デジタルで広告を配信し、CMの補完をするという活用方法にも導入企業からは反響をいただいています。テレビ局からも、視聴者層の新規開拓のため、番組宣伝に活用したいなど、新しいアイデアもいただいています。各社と協力をしながら、サービスのバージョンアップを目指します」(谷本氏)。

安田氏は「国内全体の視聴データをカバーし、サービスの精度を高めていきます。今はCM、番組の視聴者をそれぞれ抽出して広告を配信する仕組みを整えています」と話す。

これらサービスは、あくまで生活者目線のもので、生活者のより良いコミュニケーションとなり、心地良い体験を提供するためのものと、谷本氏は話す。

「生活者にとって、過度に追われていると感じる広告は気持ち悪いもの。『TVBridge』には、リターゲティング機能はありませんし、メーカーから提供を受ける視聴データは、事前に許諾をとっているオプトイン型で、個人は非特定です。いかにテレビ広告、デジタル広告が効率化、最適化できたとしても、生活者に不快感を与えて意味がありません。今後も『どうすれば、生活者にとって心地良い体験となるのか』を念頭にテレビCMとデジタルを横断したコミュニケーションの実現をサポートしていきます」(谷本氏)。

「TVBridge」のサポートによって実現するPDCAサイクル

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