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「効果が見えづらい」は過去の話 効果の可視化と高速PDCAで進むテレビCMのDX

ラクスル

データ基盤を整え、可視化し、組織やビジネスモデルの変革につなげるデジタル・トランスフォーメーション(DX)。ラクスルが2020年4月にリリースした運用型テレビCMプラットフォーム「ノバセル」は、テレビCMのDXを支える。

テレビCMをコストではなく必ず「投資」にできる理由

ラクスルでは効果が見えづらいと言われてきたテレビCMの常識を変える、運用型テレビCMサービス「ノバセル」を提供。その高い成果から売上高はこの6年間で約30倍に伸びた。そもそも同社の考える「テレビCMのDX」とは、どのようなものなのだろうか。

「私たちはテクノロジーを使ってムダなコストを削減し、意味のあることに投資をすることで、業界全体の構造を改善していこうとしています。テレビCMは膨大なマーケティングコストが掛かるのに、効果がなかなか可視化しづらい。これが一番の課題です。売上がどう上がったのか、新規顧客がどれくらい増えたのかといった最終的な効果はもちろん、その過程には認知の向上や好感度の向上、サイトのセッション数といったさまざまなデータがあります。ノバセルはそうしたデータをリアルタイムに可視化し、高速でPDCAを回すことができます。これまで企業のマーケターの皆さんは、分析とレポートにかなりの時間を費やしてこられたのではないでしょうか。その部分をDX化し、浮いた時間を本来向かうべき戦略的な業務に割けるようにすることが私たちのテーマです」(田部氏)。

さらに田部氏は、「効果が出るかどうかわからないテレビCMに、これからは高いお金を支払わなくてよくなる」と続ける。

「視聴率が高ければ広告枠が高く売れるので、視聴率をとにかく上げることがテレビ局の重要なKPIになっています。視聴率の高さと、広告効果の高さが完全に比例していればよいのですが、実際は『高視聴率である番組=広告効果の高い番組』ではありません。これは、私たちがいろいろな会社を支援する中で見えてきた事実です。視聴率が低い番組でも効果が出ている番組もあれば、視聴率は高いけれど効果が出ていない番組もある。ノバセルでは放映番組等の効果をすべて可視化。効果に基づき適切な放映枠に集中的に投資することで、無駄なく投資対効果を最大化することができます」(田部氏)。

図表1 CV・CPAをリアルタイムに可視化
CMの効果を地域別・素材別・番組別にリアルタイムで可視化。分析の手間なく、即座に適切な投資判断が可能になる。

ひとつの仮説だけではリスク大 大量の仮説で戦うべき

「ブランド広告はテレビCM、運用型広告はデジタルという認識が一般的ですが、2つの良いとこ取りをしたのが運用型テレビCMです。デジタル的な運用でテレビCMを回しましょうという発想。テレビを使ったブランド広告は効果が見えづらいのでコストカットされやすいですが、効果を可視化することができれば、事業を成長させる意義ある投資になります。そのためまず私たち自身が、CMを積極的に打ってきました。もともとラクスルは、低価格印刷で地域企業のプロモーションを支援する事業からスタートしました。その過程でテレビCMを利用して売上を大きく伸長してきましたが、この実体験をお客さまに共有できることも、事業会社ならではの大きな強みです」(田部氏)。

ノバセルには、ラクスルが6年間で売上高を約30倍アップさせたノウハウが詰め込まれているという。だからテレビCMを初めて打つ企業でも効率的に運用できるわけだが、導入企業では、具体的にどのような成果が出ているのだろう。

「変化が激しい市場を相手に、ひとつの仮説だけで勝ち抜くのは難しいので、仮説をたくさん検証してアプローチする。これが私たちのスタイルです。例えば、ウェザーニューズ社は天気予報のアプリを提供している会社ですが、導入後、App Storeのダウンロードランキングで最高2位を獲得されました。人によって欲しい情報は違うということを踏まえながら、時間帯や地域で細かく出し分け、最終的には約120通りのCMを制作。ノバセルには1クリエイティブごとに効果を可視化する「ノバセルアナリティクス」というツールがあります。しかもこれだけ大量にCMをつくって毎日違うところに流しても、効果がきちんと可視化できる上に超高速で改善できるので、勝ちパターンがどんどん見えてくる。天気に合わせて打つべきCMも、おのずと見えてきます」(田部氏)。

40を超える事業を展開し、さまざまな目的でテレビCMを打つDMM.comも、ノバセルを導入して成果を上げた企業のひとつだ。

「CMの分析はこれまで、それぞれの事業担当者が属人的に行っていましたが、導入後はアウトプットまでの時間を大幅に削減できたようです。放映後に分析してアウトプットまで1カ月はかかっていた作業が、2週間ほどで終わるように。2週間の放映期間で最初は4本のクリエイティブからスタートしましたが、3~4日経って実績を分析・検証した結果を踏まえ、後半1週間は効果が高いと判断したクリエイティブに絞って放映ができたそうです。テレビCMの効果を実感するとともに、可視化した効果の数値を基に改善できる体制も社内で構築しつつあるそうで、手応えを感じています」(田部氏)。

ITリテラシーが高くなくてもDXは推進できる

テレビCMのデータ収集・分析の作業時間を大幅に削減するだけでなく、企業の勝ちパターンを見つける。今後はどのような展開を目指しているのだろう。

「私たちのビジョンは『マーケティングの民主化』です。情報の格差を無くし、誰もが正しいマーケティングができる世界をつくりたい。そうした未来に向けて、まずはデジタル化が進んでいない大企業のDXをサポートすることがファーストステップだと考えています。今後はテレビCMにとどまらず、マーケティング全体を最適化するサービスを提供していく予定です。当社が提供する高度なデータ分析は、優秀なエンジニアとITリテラシーが高いマーケターがいるからこそ成立している。ですが、たとえIT企業ではなくてもデータの基盤づくりやPDCAの運用改善からサポートしDXを推進できるよう、注力していきます」(田部氏)。

ラクスル
取締役CMO
田部正樹氏

14年8月にラクスルに入社後、マーケティング部長を経て現職に就任。18年より、これまでのラクスルの成長を約50億かけてドライブしてきたマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業、「ノバセル」を立ち上げ、事業責任者を兼任している。

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