サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)とQuark tokyoは2019年8月にメディアコミュニケーションエージェンシーMediator(メディエイター)を設立した。2社はなぜ新会社を設立し、また何を目指しているのか。Mediator・代表取締役のオノダタカキ氏(Quark tokyo)と取締役の岸岡勝正氏(CCI)に聞く。
メディアのプロとクリエイター両者の知見が融合した組織
──2019年8月にCCIとQuark tokyoで立ち上げたMediatorの事業概要とは。
岸岡:Mediatorを立ち上げたのは、急激に多様化するメディアに対応した、新しいエージェンシーが必要との考えがあってのことです。いま、多岐にわたるメディアの特性と広告フォーマットを理解し、さらにそれぞれのブランドのターゲットに適した形でコミュニケーションを企画・制作する会社が求められています。
そこでMediatorではメディア、クライアント双方のビジネスターゲットやアセットを理解し、双方がメリットを享受できるコミュニケーションとクリエイティブ、広告配信プランの設計、実運用をワンストップで提供できるエージェンシーを目指しています。
具体的には、①メディアを起点としたコミュニケーション、クリエイティブプランニングの提供 ②クライアントのニーズ、ターゲットインサイトをもとにしたメディアコンサルティング ③クリエイティブ制作、メディア運用というエグゼキューション業務を行っています。
──新会社設立の経緯とは。
岸岡:CCIは昨年、TikTokを運営するバイトダンス(ByteDance)さんとパートナー契約を結びました。TikTokは若年層の支持から火が付いたアプリケーションですが、我々にとって若年層は、あまり得意ではない領域。そこで個人的に旧知の間柄であり、若年層マーケティングに特化した会社で活躍されているオノダさんに相談をしたのです。
そこでオノダさんから「SNSでは、それぞれのメディアの特徴に合わせたクリエイティブを制作しなくてはいけない」というアドバイスをもらって。そこから「今後はメディアと人をイメージしたクリエイティブ展開と企画を押さえると、ビジネスの幅が広がるのではないか」と話が盛り上がり、2社で組んだ新しい会社の話に至ったのです。
オノダ:コミュニケーションプランナーとして活動をしてきた経験を持つ私は長年、メディア特性が多岐にわたるデジタルの世界では、それぞれの特徴に合わせた異なるクリエイティブ企画が必要だと感じていました。Instagramに配信する広告をつくるには、Instagramという場の作法を知らなければいけない。
テレビCM用のコンテンツをSNSでの広告用に二次利用する企業もありますが、今の時代は配信先のメディアごとの作法まで踏まえた、コンテンツのつくりわけが必要とされていると思います。ですから今はクリエイティブディレクターもメディアのことを知らないと、コンテンツを企画することができなくなっていると考えています。
私自身はクリエイティブディレクターとして、消費者やメディアとつながることを目指してきましたが、消費者とつながることができた今、次はメディアとのつながりを持ちたい。それがこの会社をつくった私の狙いですし、今回の協業にとてもワクワクしています。
岸岡:つながりという意味では、社名のMediatorには「クライアントとメディアをつなぐ架け橋になる」という想いも込められているんですよね。
各SNSごとに違う作法を知り最適化したコンテンツを制作
──「クライアントとメディアをつなぐ架け橋になる」ということですが、実際にクライアント企業はどのような課題を抱え、またどのように解決をしていこうと思っているのでしょうか。
オノダ:SNSについて言えば、これまでにいろいろなメディアが現れては消えて、を繰り返してきましたが、現在は「YouTube、Twitter、Instagram」の3つが大きな力を持っています。そこで、クライアント自身もこの3つのメディアについては専門的に対策を考える必要がありますし、実際にクライアントからもこのメディアに対する攻略法を見つけたいというオーダーをいただくことが多いです。
岸岡:この攻略法というのはQuark tokyoのように、主要なSNS上のコミュニケーションの作法がわかっている企業でないと、なかなか提案ができないものです。
これまで私たちCCIは、メディアやクライアントと接する際には、ターゲティングの精度や運用の効率化といった話をすることが多かったです。しかし現在は、先の3メディアを含め、デジタル広告配信の自動化が極限まで進みつつあるので、運用方法では差別化がしづらくなりつつあります。加えて今後、Cookie利用の規制も予測されるので、私たちのビジネスの競争軸では、より深いユーザー理解を踏まえたクリエイティブが重要になっていくと考えています。
オノダ:特に若い世代は「テレビは大人がつくるもの、ソーシャルメディアは自分たちのフィールド」という意識を持っていると思います。そのような意識を持つ彼らにとって、デジタル上の広告は「自分のお気に入りの人だけをそこに招いて、お気に入りの人だけが滞留している自分の部屋」に土足で入ってくる存在です。
しかしながらクライアント側にはそういう意識がないので、これまでのテレビCMのように、自分たちが言いたいことを言って帰ってきてしまう。そこで、広告がうまく機能しなくなっているのだと思います。
それでは、この問題を解決するにはどうしたらよいのか。そこでは、「このユーザーと会話をするためにはどういう作法や話法が必要か」を考えることが必要です。そこを理解した上で同じ目線で会話をしないといけない時代になっている。Mediatorが目指す価値とは、まさにそこにあり、各メディアの特性やその先にいるユーザーの気持ちに適したクリエイティブの提案をしていきたいと考えています。
──今後の展望についてお聞かせください。
岸岡:メディアとクリエイティブを突き詰めて、どれくらい効果に差があるのか、例えば実際に購買がどれくらい変わったのか、そういうものをきちんとアウトプットする場をつくっていきたいと思っています。この会社に頼めばこういう課題がクリアになると見せられるようにやっていきたいですね。
オノダ:「日本で一番、◯◯に詳しい」と言われたいですね。個人的には「日本で一番マストヘッドとプロモトレンドをどういう状況で出稿するのが正解か知っている会社」と言われたいです。
岸岡:今はプラットフォーマーを中心にしたビジネスですが、今後は新しいメディアに対する新しい支援の仕方も考えていきたいと思っています。
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株式会社Mediator
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