宣伝会議は、2019年11月12日、13日にANAインターコンチネンタルホテル東京にて「宣伝会議サミット」を開催。「令和時代のアドエクスペリエンス」と題して、開催された本サミットでは、カスタマーエクスペリエンスの質を向上するカギとなる、広告を始めとしたマーケティング・コミュニケーションの今日的な進化のあり方を考える各種セッションを展開した。今号では広告・メディアビジネスの未来展望に関するマーケティング実務家による対談、講演、新たなマーケティング手法のプレゼンテーションについて、その一部を紹介する。
ソーシャルリスニングで旅行ニーズを可視化 新たなサービス創出の手がかりに
デジタルの台頭により、旅行業界は大きく変化している。消費者は計画段階から詳しい旅の情報を調べ、旅行商品はオンラインから個人で予約。「旅行後はSNSで自分の旅行体験をシェアし、それが新たな需要の喚起にもつながっている」と話すのは、全日本空輸(ANA)の営業全般ならびに旅行事業を担うANAセールスの遠藤貴照氏だ。
さらに最近では、価値観の多様化によって、個人で自由行動できるプランが多く選ばれているという。「その結果、旅行先でのお客さまの動向が見えづらく、ニーズが可視化できないという課題が生まれた」と話す同氏。そこで、ソーシャルリスニングによる旅行のトレンド分析に注目した。
複数のソーシャルリスニングツールを比較検討した結果、Twitterのデータの全量を持ち、分析機能も豊富な「Crimson Hexagon」に決定。日本からの訪問者数が少ない国に訪れている人をアーリーアダプターと位置づけ、2019年以降に旅行した国を分析したところ、2020年3月にANAが就航するウラジオストクに関する投稿がいくつかあり、旅行者が興味を持ちそうな観光スポットについての投稿も見られたという。また、現地のトレンドについての情報も得られたという。
後半には、「Crimson Hexagon」の販売を行うブレインパッドの奥野クララ氏が登場。「Crimson Hexagon」に、SNS分析の世界的ベンダー「Brandwatch」が合併し、Brandwatchの特長である業界最大級のデータと可視化機能を付加した新たなプラットフォーム「Brandwatch Consumer Research Platform」をリリースしたと発表した。
お問い合わせ
株式会社ブレインパッド ビジネス統括本部
〒108-0071 東京都港区白金台3-2-10 白金台ビル
TEL:03-6721-7002
E-MAIL:info@brainpad.co.jp
URL:
https://www.brainpad.co.jp/
顧客のロイヤリティ醸成や、コミュニケーション強化などスマホアプリがもたらすメリットとは
今やスマートフォンアプリは毎日、使われる身近なものとなった。それに伴い、企業の自社スマホアプリの開発も進み、アプリ上での取引金額も増えている。こうした現状に対し、企業のアプリ開発支援を行うヤプリの島袋孝一氏は、「アプリは課題解決の手段のひとつ。アプリの制作自体を目的にするのではなく、マーケティングの一環として考えてほしい」と訴えた。
ヤプリは2013年に創業。同社提供のアプリ開発プラットフォーム「Yappli」は、ドラッグとドロップのみでアプリの構築・運用が可能なため、エンジニアは不要。現在までに約300社がYappliを使ってアプリ制作を行ったという。
島袋氏は、講演の中で、アプリを活用した成功事例を複数紹介。ひとつは、ファンのロイヤリティの醸成を目的とした、味の素のケースだ。同社は、自社ブランド「アミノバイタル」において、メーカーでありながらも直接顧客とコミュニケーションを取ることで、ロイヤリティを高めるための手段としてアプリを活用。
味の素とヤプリの制作チームは、「味の素がどんな課題を持っていて、何を解決したいのかという視点やお客さまとどんなコミュニケーションを行ないたいのかという点を意識した設計にした。成果として、商品の継続利用のきっかけになっている」と手応えを示す。
また、福岡で明太子の製造販売を手がけるふくやでは、土産物として自社商品を購入した観光客を中心に、継続的にECサイトや全国各地で開催される物産展情報などを紹介することを目的にアプリを開発。売上に寄与しているほか、幅広い世代との接点強化につながっているという。島袋氏は最後に改めて、「自社の課題をまずは洗い出し、その上でアプリ開発に臨んでほしい」と語った。
お問い合わせ
株式会社ヤプリ
〒106-6241 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階
TEL:03-6866-5730
E-MAIL:sales@yappli.co.jp
URL:https://yapp.li