「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」ことを目的に設立された「JAPAN CMO CLUB」。すでに参加マーケターも100名規模にまで成長している。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは。
お客さまにとっての価値が起点 機能競争に陥らない発想が必要
9月12日、「JAPAN CMO CLUB」の26回目となる研究会が開催となり、イデアインターナショナル、日本コカ・コーラ、Peachの3社のマーケターが参加をした。
研究会は各社の課題の共有からスタート。イデアインターナショナルの星野氏からは、同社が高い機能性を訴求する大手家電メーカーとも競合する調理家電も扱うことから、異なる競争軸が必要との課題が提示された。そこでホットプレートであれば「ホームパーティーの楽しさや知人と共有したくなるレシピの提案」など、その商品があることで実現する新たなライフスタイルを訴求するようにしているという。
この課題に対して、日本コカ・コーラの河合氏は「社内でコミュニケーションを開発する際にも、無意識に商品機能の話に集中しがち。しかし、飲料でも『お客さまに、どのような価値が提供できるの?』ということが大事なので、星野さんの話にはとても共感する」と話した。
航空会社でありながら社名に「航空」「エアライン」という言葉を用いていないPeachも、まさに商品スペックの先にあるお客さまにとっての価値を重視してきた会社であり、星野氏の話に対して野村氏は大きく共感を示していた。
さらに、議論を盛り上げたのが野村氏の発言だ。「LCCの認知度はまだ低く、利用促進が課題。一方で、その解決策として他のエアラインと同じ、顧客満足を高める方向に進んでしまうと、原価が上がり、『手頃な航空運賃』というLCCにとって最大のバリューを失う。サービスを拡充するのではなく、顧客体験を毀損する"痛点"をカスタマージャーニーの中で明らかにし、それを潰していくことで顧客満足をつくりたい」(野村氏)。
同氏の「"痛点"を見つけて解消する」という話を受け、河合氏からは「星野氏の『商品があることで実現する世界を考える』という発想と根底ではつながっている」との指摘があった。さらに「今まで誰も表現していない、それでいて多くの消費者が共通して感じている"痛点"が言語化できると、非常に高いブランド価値になる」と河合氏は考察を提示。野村氏、星野氏も共感していた。
2019年11月で、設立5周年を迎えた「JAPAN CMO CLUB」では、定期的にマーケターが集う研究会を実施している。「JAPAN CMO CLUB」Founderの加藤希尊氏は研究会の最後に「6年目に突入する『JAPAN CMO CLUB』は、マーケターにとって役立つ知識を共有する場としてだけでなく、参加メンバーの積極的な参加を得ながら、CLUBが持つ資源を社会に提供し、マーケターの社会的価値を高めていきたいと考えている」と今後の展望を語った。
6年目に突入する「JAPAN CMO CLUB」は100社を超える参加メンバーと共に、新たなステージに突入しようとしている。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
https://www.advertimes.com/special/cmoclub/