従来、顧客の行動を把握できないと言われてきたオフラインのチャネルにおいても、スマートフォンの浸透もあり、データ取得が可能になっている。そのハブを担うのが、アプリだ。モバイルアプリの広告効果測定を行うAppsFlyerは10月17日、セミナーを開催。リテール業界中心に、アプリを活用した「リアル×デジタル」の顧客体験づくりの先進事例が紹介された。
リテール企業の強みは「店舗」 全チャネル連携で顧客体験を最適化
第1部に登壇したのは、ビービット東アジア営業責任者として上海オフィスに勤務する藤井保文氏だ。同氏は、2019年3月刊行の著書『アフターデジタル』をもとに、日常の購買行動のほぼすべてがオンラインに移行している中国のOMO(Online Merges with Offline)事例を紹介。
ひとつが、医療機関紹介アプリ「グッドドクターアプリ」を提供する中国の平安保険の事例。藤井氏は「顧客と接点が取りづらい保険という業態ながら、アプリを使うことで、"日常的な"接点をつくり、適切なタイミングで営業や信頼獲得ができる状況をつくっている」と話し、日本のリテール企業もオフラインを含めた顧客行動の把握が今後の鍵だと指摘した。
第2部では、AppsFlyer 日本カントリーマネジャーの大坪直哉氏が登壇。同氏は、顧客とのリアルな接点である「店舗」を持つリテール企業こそアプリを導入すべきだと話す。
「現在は、ひとりのユーザーがひとつの商品・サービスを購入するまでにも、オフラインでの接点からPC、スマートフォン、Webやモバイルアプリなど、複数のデバイス、プラットフォームを経由し、複雑さを増している」と指摘。その結果、企業はひとりの顧客に対し、各デバイス、プラットフォームごとに異なるユーザーIDを付し、コミュニケーションしている可能性があるという。
さらに、この状況を「リアルな場で、これまで何度も会ったことがある人に、会う度に『初めまして』と言われるようなもの」と説明。「こうした顧客にとってストレスになる体験を排除し、体験の価値を高めるには、オフラインも含めたIDの紐づけが重要だ」と続けた。
顧客IDの統合化を進める上で、オフラインでの行動把握の鍵となるのがアプリだ。リテール企業であれば、店舗でアプリを開いてもらうことで、オフラインの行動を理解。広告をはじめとしたマーケティング投資の効果を検証し、顧客理解と体験設計につなげることを可能とする。
丸亀製麺マーケティング部の神谷亮介氏は、同社のアプリを通じた顧客のオフライン行動の紐づけに成功した事例を紹介。同社は2017年に公式アプリをリリース後、アプリ内のクーポンを充実させたことで、順調にアプリ利用者数を拡大。「さらにAppsFlyerの効果測定機能を利用して、アプリ内の広告媒体のコンバージョン率やライト、ヘビーユーザーの差別化など『顧客の見える化』につながっている」と語った。
第3部では藤井氏、大坪氏、神谷氏に加え、パルコデジタルマーケティングの唐笠亮氏も登壇。パネルディスカッションが行われた。同社でもアプリ活用は急速に進んでおり、「いまでは、来店前のお客さまの閲覧履歴などから顧客理解を深め、さらにアプリで店頭での購買情報を把握。お客さま一人ひとりのカスタマージャーニーに寄り添っている」と語った。
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