宣伝会議は、2019年11月12日、13日にANAインターコンチネンタルホテル東京にて「宣伝会議サミット」を開催。「令和時代のアドエクスペリエンス」と題して、開催された本サミットでは、カスタマーエクスペリエンスの質を向上するカギとなる、広告を始めとしたマーケティング・コミュニケーションの今日的な進化のあり方を考える各種セッションを展開した。今号では広告・メディアビジネスの未来展望に関するマーケティング実務家による対談、講演、新たなマーケティング手法のプレゼンテーションについて、その一部を紹介する。

(写真左から)ネスレ日本 媒体統括部 媒体統轄室室長 村岡慎太郎氏、スマートニュース 執行役員 広告事業担当 川崎裕一氏。
リスク回避に留まらないアドベリフィケーションの利点
ナショナルクライアントによるデジタル広告への出稿が増加している現在、意図しない場所に広告が掲出され、ブランドを毀損するリスクが顕在化し始めている。これは「アドベリフィケーション」における解決すべき課題のひとつ「ブランドセーフティ」(他に「アドフラウド」「ビューアビリティ」がある)だが、昨今デジタル広告の品質に注目が集まり、アドベリフィケーションの必要性が叫ばれるようになった。
6年前からその重要性を指摘し続けているスマートニュースの川崎裕一氏は「『アドベリフィケーション』という言葉の認知度さえも日本では30%程度に留まる。しかし、今のままアドベリフィケーションを怠ると、例えば意図しないサイトへの広告掲出により長年築いてきたブランドの信頼性が一夜にして崩れ去ることさえある」と警告する。
一方で同氏は、アドベリフィケーションの徹底はリスク回避以外の利点もあると話す。「無駄な広告費を防ぐことができれば、ROIの向上に直結する。アドベリフィケーションの徹底はリスク管理だけでなく、むしろ企業にとっては利益拡大につながる攻めの施策と言える」。
スマートニュースは、アドベリフィケーション施策として、①IAB/MRCが定義する「ビューアブルインプレッション」が担保された広告枠を主軸に販売 ②独自の広告配信サーバーを利用し、接続しているアドネットワークを限定していることからアドフラウドに強いプラットフォームを実現 ③広告主のブランド毀損の未然防止のため、信頼性の高いパブリッシャーとしかコンテンツのやり取りをしない、などの取り組みを徹底している。
「アドベリフィケーションへの対策に率先して取り組むことで業界全体を盛り上げていきたい」と展望を話す。
続いて、ネスレ日本の村岡慎太郎氏により、同社のアドベリフィケーション施策とその成果が共有された。
同社の取り組みはスイス本社でアドベリフィケーションについてのガイドラインが作成された2016年にまで遡る。それを受け、ネスレ日本でも同年10月から施策が始まった。
取り組みとしては、ビューアビリティを広告ピクセルがディスプレイに100%表示されなければカウント対象にならないなどの仕組みを作成。また、ブランド毀損を起こしかねないサイトへ掲出されていないかを第三者機関に計測を依頼し、結果は広告会社と共有。各メディアのブラックリストなどを作成した。
その結果、リスクの可能性があるサイトへの出稿を20%削減、広告の視認性も115%改善したという。
そんな村岡氏だからこそ、第三者計測機関によるスマートニュースの計測結果が、ネスレ日本の基準に対し、ビューアビリティの高さは2倍近く、アドフラウド率の低さも15分の1であることに驚く。
最後に両者は「ビューアビリティやアドフラウドなどが改善されれば、それらにかかった経費は簡単にペイできる。リターンの多さを考えると、確かに"攻めの施策"だ」と話し、講演を締めくくった。

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