宣伝会議は、2019年11月12日、13日にANAインターコンチネンタルホテル東京にて「宣伝会議サミット」を開催。「令和時代のアドエクスペリエンス」と題して、開催された本サミットでは、カスタマーエクスペリエンスの質を向上するカギとなる、広告を始めとしたマーケティング・コミュニケーションの今日的な進化のあり方を考える各種セッションを展開した。今号では広告・メディアビジネスの未来展望に関するマーケティング実務家による対談、講演、新たなマーケティング手法のプレゼンテーションについて、その一部を紹介する。
売上を後押しするテクノロジーとクリエイティブで今こそ見直されるべき紙メディアの価値
日本郵便は、デジタルとアナログを融合したプロモーションの最適解を探るプロジェクトを3年前に発足。当時を振り返り「かつては、デジタルとアナログの二項対立のような話ばかりが聞かれたが、生活者はデジタルとアナログを無意識に行き来している。これからはその二項を組み合わせて効果を最大化するべきだ」と、モデレーターを務める博報堂プロダクツの大木真吾氏が述べ、トークセッションはスタートした。
テクノロジーを使って紙メディアの価値向上に努めるgoofのCEOである岡本幸憲氏は、自社サービス「Print of Things」の事例を紹介。マーケティングオートメーションやCRM、ERPなどと連携し、デジタルと同様の簡易さとスピードで、個々の顧客に合わせた紙メディアのプロモーションが実現できるというもの。「第33回 全日本DM大賞」でグランプリを受賞したディノス・セシールの施策にも用いられたという。
「マーケティングメディアとしての印刷のアドバンテージは、閲覧性と一覧性。さらにそれを、共感を呼び起こすクリエイティブで伝えられる点だ」(岡本氏)
集英社で、女性誌のコンテンツを使ってWebビジネスを展開する同社ブランド事業部の小倉千絵氏は、「すでに『存在する』ニーズを発見するのではなく、我々はコンテンツを使ってお客さまのニーズを“育てている”」と話す。その具体例として、たった1枚の写真を誌面に掲載しただけで、ひとつのスカートを1345万円分売り上げた事例を紹介し、「ニーズを生み育てるのがコンテンツの力で、カスタマイズするのがデジタルの力。そして、それを確実に届けるのが紙の力だ」とまとめた。

Goof
CEO
岡本幸憲氏

集英社ブランド事業部
部長
小倉千絵氏

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顧客とのエンゲージメントを高めるリアルな場の“フィジカルな”体験を設計
博展は、イベントや展示会などのプランニングから施工管理、さらには効果測定までを一気通貫して請け負い、顧客企業とターゲット間のエンゲージメントの最大化するエクスペリエンス・マーケティングの企業だ。
「クライアントの理念を丁寧に汲み取ったプランニングとクリエイティブ力で質の高い体験を創り上げることが当社の特徴だ」と話すのは同社コミュニケーション本部局長の南正一郎氏だ。同氏は、事例ベースで話を進め、最新のエクスペリエンス・マーケティングとフィジカルな体験の重要性を来場者に問いかけた。
情報が溢れ、一般消費者もSNSなどを通じて発信者の側面を持つ現代において、ブランドメッセージの押し売りだけではターゲットの共感を得ることは難しい。“365 SERVICE”“POP UP”“BRANDED EVENT”の3つのキーワードを掲げ、日常と非日常の境を曖昧にし、より密でエモーショナルな気づきを与えることがキーポイントであると話した。
また同社は、デジタル技術が進歩していく現代において、あえてフィジカルで”ココロを動かす”コミュニケーションの提供を目指し、単なるイベントではなく、ブランドとのコミュニケーションの場を提供しているという。疑似体験ではないリアルな“体験”を通して信頼を獲得し、直接的な購買に至る前にポジティブなイメージを醸成、さらにはブランドに対するモチベーションを最大化させることに注力しているそうだ。
南氏は最後に、「リアル体験は本来、深さにポテンシャルを持った手法、いかに拡散させるかに注力するよりも、そこでしかできない体験とは何かを突き詰めることで、はじめて体験は信頼につながる情報になる」と話した。

博展
コミュニケーションデザイン本部
局長
クリエイティブディレクター
南 正一郎氏

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