史上最大規模のFIFA女子ワールドカップに出稿する米企業
2022年のFIFAワールドカップの興奮も冷めやらぬ、この夏「FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023」が開催された。本大会はFIFAが目標としていた観客数150万人を開幕1週間で達成するなど「女子W杯史上最大の大会」となった。4年に一度の好機を逃すまいと、さまざまな企業が大会に協賛しマーケティング活動を行った。
先進企業の最新事例を現地から松本泰輔氏がレポートします。
2022年のFIFAワールドカップの興奮も冷めやらぬ、この夏「FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023」が開催された。本大会はFIFAが目標としていた観客数150万人を開幕1週間で達成するなど「女子W杯史上最大の大会」となった。4年に一度の好機を逃すまいと、さまざまな企業が大会に協賛しマーケティング活動を行った。
ソーシャルメディア(SNS)における一般的な認識は「インフルエンサーは若い人が中心」だが、ここ数年50~90代のインフルエンサーが次々と誕生し「社会に大きな影響を与えている」と報じられている。現在アメリカの月平均TikTokユーザーは1億5000万人で、そのうち50歳以上は7.1%(1065万人)を占めている。今では「おじいちゃん・おばあちゃんインフルエンサー」を意味する“グランフルエンサー(Granfluencer)”という造語も生まれ、彼らとタイアップする企業が増えている。
各世代の定義は異なる場合もあるが、Z世代は大体1995年前後から2010年頃までに生まれた世代。それに続くアルファ世代は、2010年前後から2025年までに生まれた世代を指す。その2つの世代を合わせた言葉「ザルファ(Z+アルファ)」が、2022年後半からマーケティング業界で頻繁に使われるようになった。近い将来彼らは米市場の中心となり、社会を大きく動かす存在になるといわれ、米企業は彼らの心を掴む機会を狙っている。
本誌2023年5月号では「AI画像生成ツールによるブランドコラボ」について紹介したが、本号では様々な用途でAIをマーケティングに活用する企業についてまとめた。
2023年に入ってからTikTokでは米国のZ世代を中心に「『De-influencing』と呼ばれる投稿が殺到し、社会現象となっている」と大手メディアが報じている。社会現象となっているキーワード「De-influencing」の由来は動詞の前に接頭語Deを付けると「~を解除する・~から離れる」と単語が逆の意味になることだ。
複数企業によるブランド・コラボレーションが、ここ数年盛んになっている。従来はブランド融合に時間がかかっていたが、高度なAI画像生成AIツールの登場により、瞬時にコラボを実現する手法が今、アメリカで話題となっている。
「みんながCMを見る日」として有名なNFLスーパーボウルが2月12日に開催された。今年の30秒CM平均単価は700万ドル(約9.23億円)と、昨年の650万ドルから7.7%増となった。過去3年間続く経済不況のなか、今年は自動車業界や旅行業界などから複数のスーパーボウル常連企業が撤退。しかし限られた予算で、何とかスーパーボウル祭りに便乗しようと工夫する企業も少なくない。
アメリカでは新年を迎えるとNew Year’s Resolutionという「アメリカ版・新年の抱負」のようなものが世間を賑わす。その結果、何か新しいことを始めさせようとする広告が、年初に溢れることになる。
全米小売業協会(National Retail Federation)は2022年11月3日、「2022年アメリカ年末(11/1~12/31)消費は前年対比6~8%増の9,426億ドルから9,604億ドル(129~131兆円)と予測する」と発表した。同13.5%増を記録した2021年11~12月消費と比べてやや控えめな予測は、2022年前半から続く燃料費や食費などの高騰によるインフレが影響を及ぼしているとみられる。NRF代表のマシュー・シェイ氏は「消費者はディスカウント商品やクーポン券を探している」と述べ、厳しい年末商戦の行方を示唆した。
現在開催中の「2022 FIFAワールドカップ(W杯)カタール」は、過去と比べて異例の大会となっている。まず開催期間が通常の6~7月ではなく、中東の極暑を避けるため11~12月の開催に。そのためアメリカではNFL、NBA、NHLなど3大プロスポーツと時期が重なり、視聴率にも影響が懸念される。またスタジアム建設時の移民労働者死亡問題や、カタールの同性愛違法などが報道されると、人権擁護団体からFIFA及びスポンサーへ批判が集中した。様々な問題を抱えながらも「世界最大のスポーツイベント」として高く評価する企業は、積極的なマーケティング活動を展開している。