「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」や「武蔵野美術大学美術館・図書館」などで知られる、建築家の藤本壮介さん。2025年開催予定の「大阪・関西万博」会場デザインプロデューサーも務める藤本さんが考える“人が集う場”で生まれるコミュニケーションに寄与する建築とは?建築に対する思想や哲学について聞いた。
空白期間で建築への熱意を醸成 運とチャンスの後押しで建築家へ
住宅や商業施設、博物館など、多様な建築作品を手がけてきた藤本壮介さん。最近では2025年開催予定の「大阪・関西万博」会場デザインプロデューサーとしての活動など、話題のプロジェクトに数多く携わる。
藤本さんが建築家として本格的に活動を開始したのは2000年。実はその前に、どこにも属さない「空白の6年」があった。「大学で建築を学んだ期間は実質2年です。授業ではいろんな施設を課題で設計して面白かったけれど、それだけでは今ひとつ自信につながりませんでした」。
当時は建築事務所に作品を持っていくのが怖かったと話す藤本さん。大学院への進学や、海外留学など、就職以外の選択肢も頭に浮かんだが、どれも踏み出す勇気が出ず、実家のある北海道に帰省。一人の時間を過ごす中で、設計活動を続けながら、建築家への夢を膨らませていった。
転機が訪れたのは2000年。青森県立美術館の設計競技にて2位を獲得。この実績を得たことで建築家として正式に登録することを決意。同年に設計事務所を立ち上げた。
「北海道の豊かな自然に囲まれた実家を離れ、東京に事務所を構えましたが、最初は大都会でやっていけるかなと少し不安がありました。でも...