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米国広告マーケティング事情

全米が熱狂する大学スポーツ「カレッジフットボール」で展開される、マーケティング合戦

松本泰輔

全米大学体育協会(NCAA)カレッジフットボールは、8月下旬から12月上旬まで、各カンファレンスにてレギュラーシーズンを戦う。その後、年末年始に各カンファレンス同士の交流戦となるカレッジボウルが40会場で開催される。各ボウルにはスポンサーがついており、激しいマーケティング活動が展開されている。

Z世代を中心にネットで旋風を巻き起こしたフロリダ州開催の「ポップタルト・ボウル」

各ボウルは会場や地名以外に、企業や製品名を冠につけることが許可されている。

フロリダ州開催の「Pop-TartsBowl(ポップタルト・ボウル)」は、タルト生地に甘いフィリングが挟まっている製菓の会社がスポンサー。マスコットは商品の形を大きくした四角い「ポップタルト君」で、実況アナウンサーが「彼は試合後、食べられてしまいます」と予告した。

カンザス州立大が勝つと、“Toast that mascot!(あのマスコットをトースターで焼いてしまえ!)”の大合唱が起こった。次に大観衆の前に巨大なトースターが運ばれ、“Dreams Do Really Come True(夢が本当に叶った)”の看板を持ったマスコットが中に挟まれていく。カンザス州立大への優勝トロフィー贈呈後、焼きあがったポップタルト君が出てきて、選手やコーチが食べるシーンが全米に放送された。

この様子はZ世代を中心にネットで何度もシェアされ、Apex Marketing Groupは「テレビ・ラジオ・SNS・その他のデジタルメディアでの露出は1210万ドル(17.5億円)相当に値する」と分析した※1。

※1 https://frontofficesports.com/whats-an-edible-bowl-mascot-worth-roughly-12- 1-million/

①ポップタルト・ボウル

マスコット「ポップタルト」が巨大トースターの中に沈んで行き、焼かれて出てきた後、選手やコーチに食べられる映像がバイラル化し「ネット上のカレッジボウル・チャンピオン」と呼ばれた。

本物のマヨネーズをコーチの頭にかけた「デュークス・マヨ・ボウル」

「ポップタルト・ボウル」と並び、「ネット上のカレッジボウル・チャンピオン」と呼ばれたのがマヨネーズメーカーの「デュークス・マヨ・ボウル」だ。フットボールでは勝ったチームの選手がヘッドコーチの背後からスポーツドリンクを浴びせかける伝統儀式がある。デュークス・マヨ製造元サワーブランズ社社長のジョー・トゥーザ氏が優勝トロフィーを持って登壇すると、“Mayo dump!(マヨをかけろ)”の大合唱が起こり、バケツの中の大量のマヨネーズが、勝者ウエストバージニア大のコーチの頭にかけられた。災難に遭ったコーチの功績を讃え、彼が選んだチャリティー団体へ寄付金1万ドル(145万円)がスポンサーから贈られた。同社長は...

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