実施できる施策の幅が広いデジタルマーケティングは、はやりの技術や手法に振り回されがちだ。20日、こうした課題解決の一つの道筋として、日々のマーケティング施策にデータベースを融合させた、デジタルマーケティングの最新事例と実践ノウハウを紹介するセミナーが開催された。
1月20日、宣伝会議にて「デジタルマーケティングセミナー」が開催された。デジタルマーケティングは実施できる施策の幅が広く、かつ多様なデータが取得できるがゆえ、意思決定に難しさが生じてしまう。自社に最適な施策は何か、達成したい目標は何かを明確に見定めなければ、次々と登場するテクノロジーに振り回されかねない。本セミナーでは、顧客データベース、動向データベース、アナリティクスの設計と活用の視点から、デジタルマーケティングの実践論を解説した。
第一部にはスバル 国内営業本部 マーケティング推進部 宣伝課 主事の安室敦史氏が登壇。スバルは、オンライン・オフラインなど様々なソースから収集されたデータを活用するプライベートDMPを導入した。しかし、デジタルマーケティングの専門部署があったわけではなく、安室氏がプロジェクトチームをゼロからつくり、ボトムアップすることで組織の壁を打ち破った。
安室氏は「成功の秘訣は、たった3点です。上位レイヤーの組織課題解決手段であること、わかりやすく説明すること、小さくても成果を出し周囲にPRすること。お客さまの気持ちを第一に考えてこの3点を実践すれば、デジタルマーケティングは成功します」と、自らが切り拓いてきた道を振り返った。
第二部では、データの収集・分析・連携を目的としたプライベートDMPを展開するトレジャーデータのマーケティング担当ディレクター・堀内健后氏が登壇した。トレジャーデータは最近、独立したデータを統合するライブデータマネジメントを開始。アプリやWebサイトを分析し、いつ誰が何に興味を持っているのかを可視化すれば、次の施策を改善することができる。
堀内氏は「デジタルの強みは、顧客の反応を見ながらクリエイティブを差し替えられることです。Web広告を出すべきか、SNSで攻めるべきか。データと連携すれば、最も売れ行きの好調なメディアやチャネルを見出すことができるでしょう」と導入のメリットを伝えた。
第三部にはサードパーティーデータの活用により、ユーザーの比較・検討に至るまでの行動のパターン化に取り組むデジタルガレージ、事業戦略室 データテクノロジービジネスグループグループマネージャーの佐々木竜也氏が登壇。デジタルガレージはデータ活用の成功を阻む課題をプラットフォーム化することで解決する。
プライベートDMPを活用し、一気通貫した顧客分析と施策の最適化を実現した。佐々木氏は、「分析術に長けた人材がいなければデータ活用は始まりません。まずは自社のKPIに合うデータの分析が可能な人材を集め、データを連携させるためのシステムを構築しましょう」と具体的な道筋を示した。
Webサイト、SNS、アプリ、動画など、デジタルマーケティングの手段は年々増えていくばかり。これらの手段を目的に合わせて適切に選択し、効率的に活用するためにも、これまで以上にデータの活用は不可欠だ。流行の手法に流されず、数年先を見据えたプラットフォームの設計、さらにそのプラットフォームを基盤にしたマーケティング戦略の企画と実行が必要と言えるだろう。

スバル 国内営業本部 マーケティング推進部 宣伝課 主事
安室敦史氏

トレジャーデータ マーケティング担当ディレクター
堀内健后氏

デジタルガレージ 事業戦略室 データテクノロジービジネスグループ グループマネージャー
佐々木竜也氏
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