「日本のマーケターの集合知をつくる」ことを目的に設立された「JAPAN CMO CLUB」。すでに参加企業も50社を超えている。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは。
マーケターに必要なブランド視点と顧客視点
1月20日に開催された「JAPAN CMO CLUB」の15回研究会には、日本マクドナルド、西友、「DEAN & DELUCA」などのブランドを展開するウェルカムといずれも食に関わる企業のマーケターが参加した。
ディスカッションでは実店舗を持っている3社だからこそ提供できる体験と体験が生み出すお客さま自身の発信に話題が及んだ。西友の木村真琴氏からは店内で流しているBGMを大幅に変えたところ、Twitter上で話題になり、新聞記者も取材に来るなど、話題が広がったという事例が紹介された。「スーパーマーケットのような業態では、お客さまが店舗に来てから商品購入を決めるケースがほとんど。長く滞在したくなる、心地よい環境づくりはビジネス上、重要」と施策の狙いを話した。
足立氏も店舗体験とSNSの親和性に着目した施策を展開。「1日にマクドナルドに来店いただく約150万のお客さまの1%の方がツイートをしてくださるだけで、1万5千件。その規模を考えれば、SNSは非常に大きなメディアと言える」と足立氏。
商品パッケージをグローバル統一のものから、日本オリジナルデザインに変更。思わず写真を撮ってSNSにアップしたくなるデザインの工夫をしているという。そして、その商品・コミュニケーション設計の根底には「お客さまがマクドナルドに求める価値は、一種の背徳感。その価値を理解したうえでの企画を考えている」という。
小売業としては、2社と異なる展開をしているのがウェルカムだ。同社は「DEAN & DELUCA」の他「CIBONE」、「TODAY'S SPECIAL」など主に食と住の領域で、デザインを軸に複数の店舗ブランドを展開する。1ブランドで他店舗展開を図るのではなく、世界観や領域の異なるブランド自体を増やしていく戦略に特徴がある。
研究会を終えて「JAPAN CMO CLUB」CMOの加藤希尊氏は「今回は顧客がブランドに求めているものが全く異なる3社が集まった。まったく違うスコープでマーケットと向き合っている3名だけに、同じテーブルを囲んだディスカッションはいつも以上に刺激的な場になった」とコメント。
今回は広告だけに留まらない、SNSやスマートフォンなどを駆使した、企業と消費者をつなぐ、コミュニケーションシナリオの全体設計がマーケターに求められている状況が見えてくる研究会となった。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。http://www.advertimes.com/special/cmoclub/
(本組織はセールスフォース・ドットコムと宣伝会議が共同で設立したものです)