1月18日、ブランドコンサルティング事業を行うフォワードが、経営者や経営企画部門、ブランディング・マーケティング部門の担当者に向け「価値観マーケティング」セミナーを開催。消費者の「価値観」に着目したマーケティング手法を紹介した。
潜在的な価値観を「見える化」し ターゲットを明確化する
対象となる市場を細分化(セグメント化)することが、マーケティング戦略の基本となる。しかし従来、細分化の切り口として使用されてきた「性別」や「年代」といったデモクラティック属性では、もはや昨今の消費者の多様化は捉えきれない。そこで、本セミナーでは、多様化する生活者を「価値観」という切り口から紐解き、効率的なターゲットの見出し方、それに合わせたプランニングの手法を紹介した。
第一部では、企業のブランドコンサルティング事業を行うフォワード・取締役の伊佐陽介氏が、「価値観」マーケティング活動の進め方について講演。経営戦略としてのブランドコンサルティングを得意とする伊佐氏は、現在の市場を「主観的・文化的・心理的な『好き嫌い』の重みが増してきている」と分析する。
こうした「文化的価値基準」で消費が行われる市場では、ニーズを「価値観」で捉え、「どのような自分でありたいか」といった心の拠り所などを軸に市場を細分化し、潜在的な価値観に刺さるアプローチを検討するのが有効だと解説。人の根源的な欲求を捉えることになるので、時代やトレンドの影響を受けにくいのが特徴だ。
細分化のために有効な手法として紹介されたのが、フォワード独自の価値観セグメンテーション「Flower」だ。簡易診断を通して、日本人を「スマート」「ユニーク」「カイカツ」など8つの「価値観」タイプに分類するセグメントマップ。特に、機能や性能で差別化が難しく、消費者の「好み」や「センス」で購入の判断がされやすい商品・サービスへ有効に活用することができる。
「こうしたセグメントマップの活用により目に見えにくい『価値観』を見える化し、社内で『共通認識化』することで、部署や機能を横断して『マーケティング全般での一貫性』を保つことができる。また、価値観タイプごとに刺さるアプローチや攻略要件の検証を繰り返すなど、セグメントの長期運用によるナレッジ蓄積~施策精度の向上も期待できる」と伊佐氏は話した。
商品化やプランニングのターゲットは社内の認識を揃えることがポイント
第二部では、伊佐氏に加え、東京建物 住宅事業企画部 CRM室 担当部長の野林 茂氏と、ピジョン 開発本部 ベビー大型商品開発部 ベビー大型商品マーケティンググループの渡邊邦子氏が登壇。両社の事例から、「価値観マーケティング」成功のポイントを議論した。
野林氏と渡邊氏は、「商品化やプランニングなどの実践的なフェーズでは『社内の認識を揃えること』が重要なポイントだった」と共に話す。セグメントマップ「Flower」を実際にピジョンの大型ベビーカーのマーケティングに使用した渡邊氏は、「ターゲットを『スマートさん』『ユニークさん』と呼ぶことで、社内に共通言語ができた。
他社のマーケティング事例を分析するときにも同じセグメントマップを利用したり、社内のメンバーをタイプ別に分析したりして、よりターゲットの人格を深堀し、共通認識化することができた」と振り返る。
一方、野林氏は「価値観」に注目し、顧客理解を重ねることで「営業先の新規顧客や、マンションに住んでいる既存顧客の『コミュニケーション』面の満足度が上がった。顧客の心理面や潜在的なニーズに応えるスピードが上がっている」と話す。
「価値観を切り口に狙う顧客像を具体化することは、コンセプト策定だけではなく、プロモーション実践段階においても社内の認識を揃えることに有効」と、二社の事例を通して語られた。
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