資生堂は2016年9月、ファッションショーのパリ・コレクションやニューヨーク・コレクションで活躍しているヘア&メーキャップアーティスト(以下、アーティスト)がプロデュースした新ブランド「PLAYLIST(プレイリスト)」の発売を開始した。新規のユーザーを獲得し、固定客化するための戦略について聞いた。
マス広告での販促では不十分
近年では消費者ニーズの多様化により、従来のマスマーケティングだけでは新規の顧客を獲得しづらくなっている。
資生堂は2012年に美容総合サイトの「ワタシプラス」を立ち上げ、現在では会員数280万人を超えた。「デジタルを活用して消費者1人1人と向き合う必要がある。ワタシプラスを通じてより多くの接点をどう持つかが課題」。そう語るのはワタシプラスでオンラインショップの運用、販促をトータルで担当しているダイレクトマーケティング部の山本雅文氏だ。
メーキャップ商品は商品の特性上、使い方や色などを目でみて対面で説明を受けてから買いたいというニーズは依然として多いが、山本氏は「消費者のニーズが多様化し、化粧品の検討から購入までをWebで行う消費者も増えてきている。そういったお客さまへは従来のマス広告の延長だけでは不十分。デジタルでどこまで深くOne to Oneのコミュニケーションできるかが課題になっていた」と話す。
この課題を解決するために、企画されたのが新ブランドの「PLAYLIST」だ。「PLAY BEAUTY(ビューティーを楽しむ)」をコンセプトに、資生堂の約40人のアーティストの経験・知見から生まれたランドで、ターゲットは20歳代後半から30歳代。仕事・趣味・子育てと多忙な女性たちが時間を有効に使えるよう、オンラインで販売している。
オンライン上でOne to Oneの対応を実現
そんな同ブランドの特徴的なサービスのひとつが「アーティストキット」だ。アーティストキットはPLAYLIST限定の有料サービスで、自分の顔写真をアップロードすると、指名したアーティストからアドバイスを受けられ、自分に合った商品サンプルが届くというというもの。
アーティストキットについて同サービスを管理・運用しているビューティークリエーション部の近藤真理子氏は「サービスを開始した当初、ソーシャル上では、顔写真をアップすることへの抵抗や『テンプレートのような回答だった』といったネガティブな投稿もあった。それらの声を生かし ...