2017年春、いよいよ改正個人情報保護法が施行され、匿名化データであれば、本人の同意がなくても第三者提供できるようになる。その商機をどう生かすべきか。米国で50年以上にわたり企業のデータ活用を支援してきたアクシオムの日本支社を訪れ、日本におけるデータ活用の今後について聞いた。
欧米では政府も民間もデータ活用は当たり前
─長年、データを基点に世界中のマーケティング活動をサポートしてきた立場から、欧米のデータ利活用の現状をどうとらえていますか。
工藤▶︎ 米国では、政府も民間もマーケティング活動を行う際のデータ活用はもはや当たり前です。そもそもデータは公共の財産という意識が強いんです。無料で使えるデータもたくさん用意されていて、政府がそのためのインフラを整備しています。ですから、日本と比べてもビジネスでデータが活用される機会が多くあり、データの流通量も圧倒的に多いです。
データを比較的気軽に扱える一方で、FTC(連邦取引委員会)が鋭く目を光らせていて、個人情報の漏えいやデータの不正利用に対する罰則は非常に厳しい。グレーな利用や法律違反をすると、たちまち事業者名を公表され、数十万ドルから、場合によっては100万ドル以上の罰金が科せられます。たとえばグーグルは2012年に民事制裁金として2250万ドル(当時のレートで約17億円)を支払いました。だから基本的にどの事業者も法令を遵守します。その強制力が、日本とは違います。
欧州では、1995年に採択された「EUデータ保護指令」によってデータの扱い方がかなり厳しく定められています。原則として、対象国外への個人データの移管は違法。ある程度自由にデータを使える米国とは対照的です。

アクシオムジャパン シニア・ビジネスデベロップメント・マネージャー
工藤光顕(くどう・てるあき)氏
IT系スタートアップ企業でeCRM・Eコマース・デジタル広告等のソリューション事業に従事後、2013年6月からアクシオム日本法人の事業開発を推進。マーケティング×テクノロジー×データに活動の中心をおく。
─日本におけるデータ利活用はどの程度進んでいると捉えていますか。
工藤▶︎ 十分に進んでいるとは言い難いですね。そもそもデータのある場所や扱い方すら正しく認識されていないと感じます。政府や官公庁もオープンデータを出しているのですが、さほど認知されていないのが実情です。
若月▶︎ 日本企業は、データに対する基本的なマインドが …