顧客や知名度の獲得、他社との連携、社員数の増加と社内コミュニケーション……。起業から間もないベンチャーの経営には、様々な壁が待ち受けているもの。その課題解決の一助となり、成長に貢献してきた広報活動のモデルケースを紹介する。
真意伝わらない取材は断りも
訪日観光客の増加を受け、都心では宿泊施設不足の問題が深刻だ。そんな折、こうした問題の打開につながるのではと注目されているのが、マンションの空き部屋などを宿泊施設として活用する「民泊」だ。仙台市青葉区に本社を置く百戦錬磨では、自社の完全子会社である「とまれる」とともに、全国初の合法での民泊事業に乗り出そうとしている。
2012年に楽天トラベル出身の上山康博氏が創業した当初から民泊事業を視野に準備を進めてきた同社だが、メディア露出が増えたきっかけとなったのは、2014年5月の賃貸大手エイブルとの業務提携だ。
エイブルと「とまれる」では現在、アベノミクス成長戦略「国家戦略特別区域法」の旅館業法適用除外を活用し、空き物件のオーナーと旅行者をマッチングする「STAY JAPAN」を提供している(業務提携時のサービス名は『TOMARERU~日常を旅しよう!~』)。この物件オーナーの紹介に、エイブルが協力する形で業務提携がスタートしたのだ。
「国内における民泊は、法的に未だ議論の余地のある分野です。しかし、訪日外国人の増加がこれからも見込まれる今、国や民間企業をはじめとしたあらゆるステークホルダーと連携し、安心できる民泊サービスを運営することは今後の観光業において不可欠になります」と広報を担当する事業開発部マネージャーの小柳秀吉氏は言う。
この記者会見では、政府機関も巻き込むことで、よりメディアの注目度を高めるという仕掛けも。「5月の会見当日には日本政府観光局の方にもお越しいただき、国交省の記者クラブを会場としました。これにより『国としても、民泊サービス業の活性化を支援している』という事実をメディアの方に伝えるのが狙いです」。こうした工夫もあって、当日の様子は『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)をはじめとしたテレビ番組にもピックアップされた。
これを機に、百戦錬磨の社名が度々メディアに上るように ...