ウェブならではの文脈や方法論を押さえる必要性は認めつつも、「結局のところリアルの世界でも価値があることが重要」だという。PRとウェブを連携させる際に重要なポイントについて聞いた。
マスもウェブも変わらない
「クライアントの要望が具体的になってきたと感じています。さまざまな試行錯誤を経て、自社の情報をどこに流すとどんな反応が期待できるか、ある程度イメージできるようになってきたのではないでしょうか」と話すのは、ベクトルの南口善史氏。「動画をつくったので『Yahoo!映像トピックス』に載せたい」など、より明確なオーダーを受けることが増えているという。
ここ10年ほどの変遷を見ても、ブロガーパーティーなどブログPR全盛の時代を経て、「ヤフー・トピックス」を頂点とした各種情報サイトの開設、ソーシャルメディアの活用、スマホに動画といったデバイスやサービスの拡充、いわゆる「キュレーションメディア」の台頭など、ウェブPRをめぐる環境はさらに複雑化している。そんな中で、目的に沿ったコンテンツやターゲットとなるメディアまでを想定し、それをクライアントと具体化しながら企画を進めることが増えてきているという。
「ウェブメディアに情報が掲載される場合、ヤフーのようなポータルがゴールとしてあっても、出だしはスポーツやIT、エンタメなどコアな専門メディアから始まるわけです。最終的にヤフートップを狙いたいのか、専門メディア内でターゲットに拡散すれば成功と考えるかで、伝える内容や文脈は変えていかなければなりません」。ウェブの世界では、情報がどれだけ拡散するのか、メディア間で転載が広がるのかが容易に可視化され、それを分けるのは情報の内容と見出しも含めた伝え方によるところが大きい。「こちらが載せたいことだけを発信しても、たとえ載ったとしてのその先(情報が)走っていかない。その見極めはこれまで以上に重要だと考えています」。