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デジタル広報「再」入門

巨人ヤフーの牙城崩れる?ネットニュースに起きる変化

嶋浩一郎(編集者・クリエイティブディレクター・博報堂ケトル代表取締役社長)

ネットニュースとヤフー・ニュースが、ネタとPVを相互に提供し合い、協力する。広報担当者は、ネタの提供元であるネットニュースにアプローチする。そんなこれまでの流れを変える変化が、いまネットニュースの世界に起きつつある。

スマホ時代になってますますネットニュースは企業にとって重要な情報発信チャネルになって来ている。AKBメンバー出演のCMから大雪の情報まで、通勤時間に会議の合間に、最新ニュースはネットニュースで最初に知るケースが多い。このネットニュースの読まれ方に変化がおきている。たとえば、ヤフー・ニュースなどニュースサイトにアクセスしてニュースを見るのではなく、ツイッターやフェイスブックのタイムラインに流れてくるニュースに偶然接触するケース。また、スマホを持つ人はブラウザではなく、「スマートニュース」や「LINEニュース」といったニュースアプリからニュースを見ている人も多い。

これから、SNSやスマホが普及した時代のネットニュースについて広報担当者が知っておくべき最新トピックスを紹介していく。その前に、ネットニュースサイトがどういう生態系で形成されているか復習しておきたい。

ネットニュースの世界は一言で言えば「島田紳助とひな壇芸人」的な構造になっている。ヤフー・ニュースが島田紳助、そして200以上のヤフーにニュースを配信する新聞社系(毎日.jpなど)、ポータル系(アメーバ、ライブドアなど)、出版社系(ニュースポストセブンなど)らのサイトがひな壇芸人。島田紳助は番組出演時、自分で面白いネタを披露する必要はなかった。芸人にネタをしゃべらせる進行役だった。ひな壇芸人は島田紳助にいじられている間、高視聴率のテレビに出演できた。ネットニュースの構造はこれに似ている。ヤフーはオリジナルのニュースをつくらない。配信されるニュースを編集するだけである。しかし、ヤフーには莫大なページビューがある。芸人はニュースを配信する見返りにPVを獲得できるのだ。巨大なPVを持つヤフー・ニュースが、ニュースの「ファーストコンタクトポイント」であり、関連ニュースを見ようとする人のPVが配信元に還流する仕組みだ。PRパーソンはヤフーのトップページに配置される可能性が高いニュース配信元を知る必要があった。

しかし、SNSやスマホの出現でこの構造は少しずつ変化してきている。今、PRパーソンはどこに注目すべきなのか?

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