広報部をつくりたい、広報機能を強化したいと思う方、必見!今回は、組織改革とともに社内外広報を充実させてきた鉄鋼商社の五十鈴の取り組みを取材しました。

全員経営の方針を体現する社内報プロジェクト
トップダウンで経営方針を伝えるのではなく、現場視点でどのような会社にしたいのかを話し合い、実現するためのプロセスにもなっている社内報。編集会議は毎回白熱する。
ボトムアップの文化を重視
1952年創業の五十鈴は、薄鋼板を仕入れ、切断加工し販売する「コイルセンター」を業態とする鉄鋼商社。創業者のカリスマ的なリーダーシップと高度経済成長の波に乗り急拡大した70~80年代を経て、90年代以降は2代目社長のもと、創業者精神は継承しつつ「人による経営から組織による経営」を目指し、分社化された各拠点で顧客満足を高めるための機能向上や組織改革を図ってきた。近年は生産技術・IT・総務・広報部門を専門別会社化するなどソフト面のサービス強化に取り組んでいる。
五十鈴の広報部門を担うのは、子会社のアイ・コミュニケーションズだ。「組織改革に伴い、"自治"の精神を各拠点や社員に求めてきたこともあり、広報の役割はインナーコミュニケーションが中心でした」と藤掛里花氏は話す。たとえば、季刊で発行する社内報の方針は、全員参加。トップダウンではなく、現場の若手社員が中心となり編集会議を開き、自分たちの視点でどのような会社にしたいのかを話し合い、実現していくためのプロセスの一環として社内報をつくっている。
社内報の編集過程など組織改革に関わる社内外の取り組みは、定期的に更新するウェブマガジンとして自社サイトに全て掲載しており、バックナンバーも含め読むことができる。五十鈴の業態はコイルセンターだが、業界で重視されるQCD(品質・コスト・納期)面だけでなく、サービス体制などソフト面を強化し、「サービスセンター」へと変わろうとしている。「サイトを訪れる取引先の方々にも、事業概要だけではなく、変革する企業姿勢を感じてもらいたい」と考えている。