ウェブメディアとのリレーションも築きたいが、きちんと取材されたことがない。リリース配信サービスの転載や、知らぬ間に書かれるばかりで、記者と話したこともない。そんな担当者も、ポイントを掴めば大丈夫。デジタル時代のリリースの基本を聞いた。
ミドルメディアが拡散の核となるような時代にリリースを書くためには、広報担当者の「センス」と「ネットの肌感」が求められます。これは、自社のフォーマットにきちんと流し込めばいいというこれまでの意識から考えると、尻込みしたくなります。しかし、実はこれまでの対マスメディアのリリースも形式に正解はなく、工夫の余地はたくさんありました。実際、私が2005年に新卒でPR会社に入ったとき、さまざまな業界担当の記者に「記憶に残ったリリースを教えてほしい」と聞いて回ったところ、業界ごとに工夫を凝らしたリリースのお話を聞くことができました。
そう考えれば、「ミドルメディア時代だから」と力んで上滑りするような技法に囚われることなく、今まで培った広報としての視点に自信をもって、工夫をしながら情報の受け手に届くリリースを書けるのではないでしょうか。
こういった前提を踏まえて、今回はお伝えしやすい3つのポイントをご紹介しようと思います。
1. リリースの切り口を抽出
メールの件名、変えていますか?
デジタル時代になって、容易にリリースが公開・配信できるようになったために、記者のもとには玉石混合の、時には自分たちの媒体には全く関係のない内容の数百件にも上るリリースが届きます。このような自分のメールボックスで考えたら発狂しそうな状況をきちんと理解すれば、リリースのタイトルをそのままメール件名にしたり、「(社名)からのお知らせ」にすることが、可能性を潰してしまうことは容易に想像がつくのではないでしょうか。この解決策として、一斉配信のメール件名はリリースタイトルをそのまま使うのではなく、リリースを要約・抽出した適度な「釣り」視点を入れることが重要です。社内外の人が見るウェブ全体に公開されるリリースのタイトル自体を変更するよりは、記者向けなのでハードルが低く、始めやすいはずです。
このタイトルの付け方に関しては、記事の見出しや、よくRTされているツイート、メルマガ関連の書籍をもとに研究されるのをおすすめします。