2007年にスタートし、12回目を迎えた「宣伝会議インターネット・マーケティングフォーラム2018」。6月5日、6日の2日間にわたってANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催されました。今年のテーマは「Industry Innovation ~新しいルールをつくる人たち~」。最先端の取り組みやサービスを提供する企業が一堂に会し、デジタル時代の今、顧客体験を軸にどのような価値が提供できるかを紹介。本号では、本フォーラム協賛企業による講演レポートを中心に紹介します。
時間を生むためのデジタル活用がブランディングの鍵
THEME
「デジタルを活用したブランド戦略」の実現は、なぜ大変なのか ~土屋鞄製造所、ツインバード工業の事例から紐解く~
デジタルにおけるブランディングというものは、なぜ大変か。フラクタ 代表取締役の河野貴伸氏は、その答えを異なる2社の事例から解説。「企業ブランディングは、全社を巻き込んだ全体体験設計の構築が不可欠であり、それこそがブランディングの基礎となる。パーソナライズをはじめとするデータ活用にも必須と言える」。
全体体験の設計には強力なリーダーシップが要るため、その企業のビジネスの本質を理解する人間が生み出す必要がある。そのため、内部から成長させる体制づくりが何よりも重要になると河野氏。「鍵は自分がリーダーの立場なら、いかにして全社を動かすか、という視点にある。そのためにはすべての立場への理解と、自分を理解してもらうための工夫が必要」と述べた。
また、デジタルが使いこなせないのは難しいからではない、と河野氏。十分な理解がないまま導入した結果、デジタル化そのものが目的となっている例が多いことを指摘する。「本来、デジタルは"目的ありき"で使うもの。時間を生むためにデジタルを活用し、ブランドコミュニケーションを十分に考察できる時間と人のリソースを生み出すことが大事ではないか」。
本質的な問題にコミットできる状態をつくり出す。こうした姿勢こそがデジタル化への慣れを生み、本当の意味でのデジタルを活用したブランド戦略につながるはずだと河野氏は締めくくった。


フラクタ
代表取締役
河野貴伸氏
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株式会社フラクタ
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ユーザー視点に原点回帰し、顧客体験を実現する
THEME
「私だけの体験」を実現する CX(顧客体験)の考え方とは
CXプラットフォーム「KARTE」やCX特化型メディア「XD(クロスディー)」を運営するプレイド Customer Success Directorの清水博之氏は顧客体験について講演した。
清水氏はまず「顧客を見て適切な体験を届けていきたいというニーズが企業の中で高まっている。そのような中、我々を取り巻く環境は顧客、技術、企業という3つの要素が絡み合い複合的に変化している」と述べた。
顧客は日々、膨大な情報に接しているが、その中でもレビューなど、人の情報を得る動きが起きていることから「人がサイトの役割を果たしている」、そして求めるサービスや商品は「自分のことをわかってくれている体験を求めている」と顧客の変化について説明した。
そのような顧客の変化に合わせて技術も変わっていくが、「ツールが増えて、企業側の努力が非常に難しくなってきている状況」であるという清水氏。企業側は「デジタルが普及して数値を追うパフォーマンスドリブンになりがちだ」と述べた。
最後に清水氏は「企業はユーザーに原点回帰すべきだ。自分のサービスに誰が、どのような体験をしているか認知する。ユーザーとして自分のことをわかってくれる、そういったことがサービスを利用し続けるポイントになる」と述べ、講演を終えた。


プレイド
Customer Success Director
清水博之氏
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インスタントウィンのキャンペーン活用法
THEME
企業マーケターがTwitterインスタントウィンを活用する理由とチャットボット連携による今後の展開
SNSマーケティングツールの開発・運営を行うユニークビジョンの白𡈽良之氏は、Twitterインスタントウィンのキャンペーン活用法について「これはTwitterユーザーが手軽にキャンペーンに参加できる仕組みで、その場で当たりかが分かる。企業アカウントをフォローし、対象となるツイートをリツイートするだけで良い」と説明。
そのためユーザー側は応募へのハードルが下がり、企業側は取りこぼしていたファンの獲得や、情報拡散、広告効果が望めるとした。ただ、インターネットキャンペーンが抱える課題の常として、参加者の増加に伴い不正参加ユーザーも増えていると白𡈽氏は指摘。その対策として同社が開発した「Beluga Campaign(ベルーガキャンペーン)」を紹介、不正参加防止のためのオプションが実装されていることを説明した。
また、同ツールを活用したキャンペーン例としてアサヒビールの玉手健志氏が登壇。エンゲージメントの高いユーザーの発掘や、参加者データを次のマーケティングに活用することにつながったと述べた。
白𡈽氏はTwitterのDMを活用したチャットボットの試みについても解説。「ユーザーと自動メッセージをやり取りすることで彼らの属性が深く探れる。そのため顧客プロファイリングによるリマーケティングが図れ、ターゲティング広告の精度を更に高めることも可能」と述べた。


ユニークビジョン
代表取締役社長
白𡈽良之氏

アサヒビール
マーケティング本部 副課長
玉手健志氏
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ユニークビジョン株式会社
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Tel:03-6434-9993
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顧客体験をイノベーションに向上、スマホアプリ活用法
THEME
スマホアプリの顧客体験にイノベーションを起こす!アプリ成功事例にみる顧客体験向上の法則
「従来のスマホアプリには使われない機能やサービスが多く実装され、顧客に受け容れられないコンテンツや通知の配信が多すぎる」と、ゆめみ 霜竹弘一氏。その原因はビジネス起点で考え、顧客を深く理解しないまま開発してしまったことだと言う。それに対し、顧客体験にイノベーションを起こすのに必要と同氏が挙げたのが「顧客と現場の深い理解」「経営理念に立ち返った提供価値の明確化」「デザイン思考による顧客中心のサービス設計」だ。
具体的にはエスノグラフィーなどの定性調査も利用し、現在の顧客の購買ジャーニーにおける課題を可視化する。そして、デザイン思考に基づき各タッチポイントでの顧客体験設計を、提供価値から逆算してインタフェースや提供価値を決定すると解説した。成功事例としたのが米国を中心に展開されているHILTON HOTELSのアプリ「Hilton HONOURS」。
予約時からチェックアウトまでの待ち時間の完全排除などストレスフリーを実現し、ホテル滞在と旅行において高い顧客体験を実現。さらに同氏は顧客の店内体験を向上させる小売店や施設向けソリューション「Li:QUEUE(リ・キュー)」を紹介。これはネットワークがアプリを介し顧客の位置と動きを検知し、店内行動や購買データなどを集計・分析、リアルタイムで店内にいる顧客に適切なパーソナライズドメッセージやオファーを、適切なインタフェース(店員も含む)を通して届けるというものだと説明した。


ゆめみ
取締役 兼 執行役員
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