「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」ことを目的に設立された「JAPAN CMO CLUB」。すでに参加マーケターも80名を超えている。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは。

写真左から、大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部 執行役員 事業企画(市場分析・教育担当)部長 川上智也氏、JAPAN CMO CLUB CMO 加藤希尊氏、ボルボ・カー・ジャパン マーケティング部 ディレクター 関口憲義氏、Netflix Director, Head of Consumer PR and Corporate/Tech PR 松尾崇氏。
共感軸のコミュニケーションで、市場縮小の危機を乗り切る
5月24日、「JAPAN CMO CLUB」の21回目となる研究会が大塚製薬、Netflix、ボルボ・カー・ジャパンの3社が参加して開催された。常に新しいことにチャレンジをし続ける3社のディスカッションでは現在、多くの日本企業が抱える課題をものともせずに乗り越えていく新たな切り口が見えてきた。
例えば、「JAPAN CMO CLUB」のCMOである加藤希尊氏は、これまで80社を超える企業のマーケターとの対話を通じて、企業のマーケティング課題の共通点として「スマート化」、「コモディティ化」、「人口減少」の3点を挙げている。そして、研究会ではこの3つの課題に対する各社の対応について発表をし、議論を重ねてきた。しかし、今回集まった3社はこれらの課題について、口を揃えて「問題にしていない」と回答した。
人口減少の問題について大塚製薬の川上智也氏は「ポカリスエット」のテレビCMを例に挙げ、「商品の機能性を訴求するのではなく、共感を付加価値にしたことで売上が伸びている。これは、モノからコトへの消費者ニーズの変化を捉えることができたから。コトの提案で共感を獲得し、ブランドロイヤリティを高めることができれば、十分に成長の余地があると考えている」と話す。
Netflixの松尾崇氏も、まさにいま日本における市場を創造する時期にあたり、人口減少について「全く問題にはしていない。しかも、Netflixの対象市場はグローバルであり、日本のエンタテインメントコンテンツを国内のお客さまに提供するだけでなく、他国で提供するビジネスの可能性も感じている」と話す。
ボルボ・カー・ジャパンの関口憲義氏も「高級車セグメントがここ十年余りじわじわと成長しているように、『どのドメインで戦うか』の規定次第で市場の見方は変わる。国内だけがマーケットではないのだし、人口減少に課題があるなら、海外に持っていけばよいという考え方もある。切り口の違いだけだ」と同調した。
盛り上がったディスカッションの最後に、加藤氏は「自分自身のブランド、ポジションを担いながら、他社のブランドが持つ資産について思考をめぐらすと、新しいコラボレーションのアイデアも生まれてくる。今回は日本の経済を活性化するようなアイデアの創出につながる、そんな期待を感じる研究会になったのでは」と話した。
真摯にお客さまと向き合い、共感を得られるようなブランドの体験を創る。さらには、共感の先、信頼をいかにつくるか、に3社の関心があるようだ。

「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
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(本組織はセールスフォース・ドットコムと宣伝会議が共同で設立したものです)