2007年にスタートし、12回目を迎えた「宣伝会議インターネット・マーケティングフォーラム2018」。6月5日、6日の2日間にわたってANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催されました。今年のテーマは「Industry Innovation ~新しいルールをつくる人たち~」。最先端の取り組みやサービスを提供する企業が一堂に会し、デジタル時代の今、顧客体験を軸にどのような価値が提供できるかを紹介。本号では、本フォーラム協賛企業による講演レポートを中心に紹介します。
CRMデータとLTV分析をターゲティングに活用する
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Google アナリティクス360 CRM連携の時代
「CRMデータを活用するには顧客の購買行動と顧客生涯価値(LTV)を同時に考える必要がある」とアユダンテの山浦直宏氏。同氏によるとデジタルマーケティングのために企業が活用できるデータは、大きく分けて3つ。ユーザーの行動データ分析ツール「Googleアナリティクス」と広告サービス「Google広告(旧AdWords)」、そして企業側が持つ「CRM」データだ。
「CRM」データはデータ分析基盤「BigQuery」上でLTV分析を実施。分析結果をサイト行動データに突合し、改善施策の実行と運用につなげるのが一連のステップになる。そこで重要なのが、サイロ化された3つのデータサイロをいかにスムーズに統合するかだ。「Googleアナリティクス360(以下GA360)」を利用することで、BigQuery上でCRMデータの分析結果とユーザーIDをキーに紐づけが可能になり、そのデータをGA360にインポートが可能になったという。
さらにインポートされたデータを元に作成したリマーケティングリストをGoogle広告へ連携することで、マーケティング施策全体の最適化と成果の最大化が図れる。それらの活用事例として、CRMデータを統合し、LTV分析結果をターゲティングに活用、成果を挙げた富士フイルムの事例を紹介。
「成功の要因はデータ統合と組織の連携。事業課題の理解と最適なツールの利用法を提案できるパートナーが必要になる。そのため、社内の関係部署への能動的な働きかけと提案支援は重要」と山浦氏は述べた。
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「GIF」でつくる新たな広告と"瞬間エンタメ"
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たった3秒でブランドリフト!スマホ世代に「伝わる」超短尺動画を活用したブランディング成功事例
GIFMAGAZINEは、超短尺動画「GIF」の再生回数、投稿数で日本最大級のプラットフォームだと解説する同社 代表取締役 大野謙介氏。月間ユーザー数は150万人以上、月間投稿本数が30万本にものぼり、30社以上の出版社や映画会社が公式チャンネルを利用しているという。利用するユーザー層のうち8割近くがスマホユーザーであり、年齢層では18~34歳までが全体の7割を占める。
一ファイルフォーマットに過ぎなかったGIFの可能性に目をつけ、体験としてのGIFを通して新たな「瞬間エンタメ」というポップカルチャーをつくりたいと大野氏は意気込む。「新たな文化が生まれれば、新たな職業が生まれる。その結果として、新たな広告が出現するはず」。GIF復興の後押しとなっているのが社会的背景だと大野氏。スマホが普及したことで、SNSの利用者は爆発的に増えた。そこでシェアされるコンテンツとしてのGIFがここでの主役となっている。
スマホでは、視聴者との距離感の近さ、画面占有率の高さから、5秒という超短尺でもブランドリフト効果があるという調査結果が出ている。
5秒以内、ワンメッセージ、ループという厳守すべき3原則がある「GIF」。特に短尺動画を好むミレニアル世代はGIFに高い広告想起率を示したため、将来性が大いに期待されている。
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AIの活用により効率の良い新規顧客の獲得を実現
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AIを活用した、新たなコミュニケーション施策
ソネット・メディア・ネットワークスの谷本秀吉氏は、AIを活用した新たなコミュニケーション施策について解説。「リターゲティングは新規顧客の裾野が広がらないという課題がある。潜在ニーズを持つユーザーを効率的に獲得できれば、顧客基盤の増加につながる」。そこで自社開発のマーケティングAI"Valis-Engine"を搭載したマーケティングハブ「VALIS-Coekpit」を開発。新たなターゲットユーザーを発見し、コミュニケーションの最適化が図れるようになったと解説した。
膨大なデータをAIが分析、可視化し、発見されたユーザーインサイトに基づいてDSP「Logicad」でターゲティングを行い、広告効果の最大化を実現するという。「マクロ的と言える戦略的判断はAIのサポートを基に人間が行い、そして膨大な処理が必要となるミクロの判断はAIに任せる。人とAIの役割を分けることがパフォーマンスや生産性の向上につながる」と谷本氏は話す。
続いて同社の谷口考志氏とソニーマーケティング 橋本好真氏が登壇。導入事例の紹介を行った。橋本氏は「AIを使ってユーザーをインサイトごとに分類したことで、リターゲティングでは捉えられなかったCV確率の高い潜在ユーザーへのリーチを実現。効率よく新規顧客を獲得することにつながった」と述べた。
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純粋な広告効果の抽出によりコスト効率を見直す
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デジタル広告PDCAの常識を問い直す
「本格的なデジタル時代を見据え、過去20年続いたデジタル広告のPDCAを問い直す時が来ている」と電通デジタルの杉浦友彦氏。目指すのはフルファネル対応のKPI開発と改善アプローチ方法だ。
これまで認知はマス、刈り取りはデジタルという認識があったため、インターネット広告の評価基準はCPCとCPAが偏重されてきた。だが、劇的なデジタル環境の変化により認知と購入検討段階をつなぐ評価指標がなく、ファネルが断絶しているという。
「そこで求められているのが、フルファネルでの一気通貫した施策設計と新たな評価指標」と杉浦氏。そして、クリック偏重型のKPIに対し提案したのが「true効果」だ。これは実際に見られたviewを切り出して各施策に配分、コスト効率を見るというもの。
「プラットフォーム内でユーザーをview接触グループと非viewグループとに事前に分ける。それにより、広告に影響を受けてサイトに来訪したユーザー数が分かり、純粋な広告効果=true効果が抽出できる」(杉浦氏)。
従来のPDCAの問い直しについては、人基点でのマーケティング「People Driven Marketing」を導入することを提案。「ターゲット属性×インサイト×メッセージという施策により潜在ユーザーの態度・行動変容まで促進でき、PDCAと判断の改善につながる」と述べた。
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