2007年にスタートし、12回目を迎えた「宣伝会議インターネット・マーケティングフォーラム2018」。6月5日、6日の2日間にわたってANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催されました。今年のテーマは「Industry Innovation ~新しいルールをつくる人たち~」。最先端の取り組みやサービスを提供する企業が一堂に会し、デジタル時代の今、顧客体験を軸にどのような価値が提供できるかを紹介。本号では、本フォーラム協賛企業による講演レポートを中心に紹介します。
デジタルで顧客の"状況"を捉え適切な施策を打ちUXを向上させる
ビッグデータやデジタルを使ってはいるけれど、なかなか成果が出ないという経験はないだろうか。
ビービット エグゼクティブマネージャ エバンジェリストの宮坂 祐氏は、「データの背景にある顧客ニーズを読み解き、それによって顧客体験を向上させる企画・設計をすることが重要。デジタル化が進み、マーケティングモデルは従来のファネル型からジャーニー型へと変革が起きています。デジタルのタッチポイントを連ね、お客さまのそばに寄り添い続けることが、おのずと商品やサービスが売れやすくなる素地をつくる。そういう考え方ができれば成果は上がります」と話し、中国の大手総合金融グループの中国平安保険グループ(以下ピンアン)の事例を紹介した。
ピンアンは金融サービスを中心に、医療・飲食・住居・移動・娯楽という5つの領域において、それぞれに潜む人々の潜在的な不満を解消するデジタルサービスを提供している。
中でも、「グッドドクター」アプリは1億9000万人のユーザーを抱える人気の医療アプリだ。人気の背景には中国の医療事情への不満がある。信頼できる医者を望む患者が大病院に集中し、受付から診察まで2日間待ちという状況が普通にあるのだという。
「グッドドクター」アプリは、信頼できる医師を集めたプラットフォームだ。ユーザーがアプリを立ち上げて散歩などの健康に良い行動を起こすとポイントが貯まり、それを使って医師にチャットで医療相談ができる。診察が必要となれば診察予約を入れ、長時間待たされることなく、信頼できる医師に診察してもらえる仕組みになっている。
「病院を探すときだけでなく、日常的に利用されることで個人に紐づくデータを集めることができ、状況を捉えたコミュニケーションを可能にしています。医者にかかったユーザーには加入している保険が適用できることを営業が電話でお知らせするなど、ユーザーの"状況"を捉えて最適な施策を打つのです。まさに営業などの"人"も活用する、オフラインとオンラインを統合したジャーニー型マーケティングの成功例です」。
成功の鍵は状況を的確に捉えてデータを蓄積するプラットフォームだ。平安グループのようにユーザーの状況を捉え、消費者とのコミュニケーションを自社サービスに取り入れるために利用できるサービスとして、宮坂氏は、ビービッドが昨年開発し、現在150社が導入するデジタル行動観察ツール「Usergram(ユーザグラム)」を紹介した。ユーザグラムは個々のユーザーの行動データをタイムラン上で可視化できる。
「今まで見えなかったお客さまの"状況"を適切にとらえ、お客さまを正しく理解できれば、プランニングの精度は上がり、正しい課題設定ができます。課題に対してコールセンターと連動した改善策など、部門間を横断して適切な手を打つことができれば、成果が上がるデジタルマーケティングのPDCAが回り始めるのです」。
ユーザグラムは7月にバージョンアップ。従来のデジタルタッチポイントに加え、コールセンターの対応履歴などのオフラインのデータもタイムラインで可視化できるようになった。
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