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植野社長に聞く、『新創業』を目指すADKの大幅な組織改編、その先にある狙い

アサツー ディ・ケイ

中期的な視野での事業改革に取り組むべく、大胆な決断をして非上場企業となったアサツー ディ・ケイ(ADK)。広告業界で大きな話題となったTOB、WPPとの提携解消を経て、同社はどんな改革を進めているのか。具体が明らかになりつつある今、その戦略を植野伸一社長に聞いた。

アサツー ディ・ケイ 代表取締役社長 植野伸一氏

──ADKは2017年12月にTOBが成立し、ベインキャピタルが株式の100%を保有する株主となり、非上場会社となりました。今回の一連の動きは、中期的な視野での事業改革を実行するための第一歩と聞きます。

上場会社の場合、どうしても短期の売上を重視せざるを得ません。もちろん現在も、短期の売上は重要ではありますが、中期的な視点での大胆な改革が実現できるようになりました。これはTOBを実施した目的のひとつです。

大枠の戦略についてはベインキャピタルとパートナーシップを組みながら行いますが、具体的な実行部分については、私たちに委ねられています。一方で、同社(ベイン)の国内外にわたるネットワークを通じた企業や人の紹介を受けることもできるので、リソースが増え、経営の意思決定が早くなり、改革が加速していることを実感しています。

──昨年の12月から約半年間、具体的にどのような変革に取り組んできたのでしょうか。

この3年ほど、専門性の獲得と収益性改善という2つの構造改革に取り組み、一定の成果を出しました。しかし、「コンシューマー・アクティベーション・カンパニー」の具体化には、さらなる専門性の獲得が必要であるとの認識がありました。TOB成立直後の今年1月から議論を重ね、その目標に基づく大きな組織改編を4月に実施したのです。

具体的には、メディア&データインサイトセクター(MDS)は、営業機能を加え、コンシューマー・インベストメント事業セクター(CIS)として生まれ変わりました。広告主企業は広告そのものではなく、その接点の先にいる消費者にインベストすることを期待しているという認識があっての名称変更です。MDSは機能がそのまま部署名になっていたのに対して、今度は本質が名称になったと言えると思います。

また国内基幹事業セクター(DCS)は営業とスタッフ部門で構成されていたのですが、今回、「コンシューマー・アクティベーション・ビジネス」を提供するアカウント・マネジメント事業セクター(AMS)と、プランニング、クリエイティブのソリューションを提供するクリエイティブ・ソリューション事業セクター(CSS)に分けて再編しました。

これらの改編は、「コンシューマー・アクティベーション・ビジネス」の根幹となるデータ・ドリブン・マーケティング、ソリューション力、クリエイティブ力の確固たる基盤をつくることを目的にしたものです。

若手クリエイター6名がブティックを設立

──大きな2つの改編、それぞれの具体的な目的と新設された主な部門の役割についてお聞かせください。

「コンシューマー・アクティベーション・ビジネス」の根幹となるデータ・ドリブン・マーケティングを推進するのが、CISです。セクターには、重要な役割を果たすグループ会社機能も含まれます。

当社は2014年にアクシバルを設立しました。ここで生活者の意識、メディア接触、購買データを組み合わせたシングルソースデータの「3Dデータベース」を活用していますが、これを拡充する形で、現在、DMPの構築を進めています。今年の秋には本格的にサービス提供を開始する予定です。

しかし、どれだけ精緻なデータが集まったところで、具体的なコミュニケーションの企画・実施に際してはクリエイティビティが不可欠です。そこで広告会社の最大の強みであるアイデアとクリエイティビティをさらに強化すべく、その役割を担うのがCSSになります。

──クリエイティブ戦略についても、新たな方針をお考えと聞きました。

一言でいえば生活者を動かす戦略的なクリエイティブ、つまりは「アクティベーション・クリエイティブ」の実現を目指しています。そして、その実現のため、(1)ブティック・サテライト構想、(2)クリエイティブ・エクスペリエンス構想、(3)クラフトワーク・ネットワーク構想が具体化に向け、動き始めています。

(1)ブティック・サテライト構想の第1弾として、7月には新会社「CHERRY」を設立しました。社長以下6名全員が「PR発想のクリエイティブ」を実践できるプロフェッショナルです。

従来の広告の手法に捉われないアイデアでニュースをつくり、世の中を動かしてくれると期待しています。若い小さな会社ですから、クライアントの要望にぴったり寄り添って全力投球してくれるでしょう。もちろん、ADKの総合力でサポートもしていきます。今後も、個性的なブティックを複数、立ち上げていく計画です。

(2)クリエイティブ・エクスペリエンス構想では、データとデジタルを使った仕掛けで新しい体験価値創造を目指します。他のテクノロジー企業との連携も視野に入れています。また、(3)クラフトワーク・ネットワーク構想では、グループ会社のADKアーツやオフショア企業などと連携し、高品質のクラフトワークをスピーディかつリーズナブルなプライスで提供できる体制構築を目指しています。

多様化する広告主企業の課題 専門性×総合力で向き合いたい

──個々の部門が専門性に磨きをかけつつも、AMSがそれらを統合した「アクティベーション・デザイン・ビジネス」を提供するということでしょうか。

各セクションがスペシャリティを磨いた先には、マーケティング活動のゴールに向け、適切にそれらの力を統合して結果を出す総合力が求められます。そして、それこそが我々が目指す「コンシューマー・アクティベーション・ビジネス」の姿と言えます。これからは、改革の先にあるADKの実現力に期待してください。

    ADKのクリエイティブ・ブティック構想第1弾
    CHERRYがスタートします。

    圧倒的なスピードで世の中が更新されています。そんな時代に、コミュニケーションを生業とする私たちができることは、企業、商品、サービスの課題を、ブランドと社会との望ましい関係づくりを実現し、解決すること。広告で培った表現技術と、手法や枠組みに捉われないジャンルレスな発想をもつ、怖いもの知らずのメンバーが集結。広告から主戦場を拡張し、乱世のコミュニケーション業界で、新しい挑戦をしてまいります。

    株式会社CHERRY 2018年7月2日営業開始
    URL:https://chrry.jp/

    CHERRY
    代表取締役社長
    鈴木 聡倫氏

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