ネットの登場はすべての人や企業が相互につながる環境をつくりだした。ブランドにとっても、メディアにとっても、そしてユーザーにとってもWin-Win-Winの関係となりうる広告は、どのように構築するべきか。オンライン空間をより魅力的な場所にしていくためのデータ・技術を用いた最先端の取り組みを、広告ビジネスをリードするベンダーに聞いていく。
今月のテーマ:「位置情報を活用した広告配信」
郵便番号ターゲティングは40代以下へのリーチに強み
デジタル広告はデータに基づいた精度の高いターゲティングができることが特長だ。なかでも、位置情報を活用した広告は、居住地や外出先といった生活者の行動範囲のなかで、シーンに合わせてアプローチができるため購買行動につなげやすく、多くの企業が関心を寄せている。
その背景として、GPSを活用する基盤が整ってきたこと。そして、小売・流通企業が店舗集客のために新聞の折り込みチラシを使っても、若年層にリーチしづらくなってきたことがある。
Supershipで位置情報を活用した広告メニューを開発してきた小林賢太朗氏は、「40代を境に新聞・折り込みチラシよりもWebメディアへの接触時間が高まる傾向にある。当社では、折り込みチラシでリーチしにくい層に対しては、位置情報を活用したデジタル施策を提案している」と話す。
位置情報の中でも、いま注目されているのが郵便番号データだ。居住地に紐づかせることができるため、店舗の商圏エリアに合わせてターゲティングができる。一方でGPSデータは、特定の場所にいるユーザーに対してアプローチをしたい場合に有効だ。
他社にはない規模感で双方の精緻なデータを保有している強みから、「ひとつの商材に対しても、シーンに合わせて郵便番号とGPSを組み合わせた広告施策を提案できるのは当社ならでは」と小林氏は語る。
ポスティングとデジタル施策で店舗の売上がアップ
実際に、小売・流通企業での活用が進んでいる。ある大手GMSは、定期開催のキャンペーンで、期間の半分は同社の郵便番号を基にしたターゲティング、残りの半分は他社の位置情報データを活用したところ、他社では売上が変わらなかったが、同社サービスによる期間は昨対比で伸びたという。また、チラシと比べて、20代の来店客数が増えていた。
さらに、あるドラッグストアでは、イベント時に需要が伸びる商品の事前購入を促すため、イベント前日までは郵便番号を元に広告を配信し、開催当日はGPSで会場周辺にいる人に向けた配信を行った結果、ドミナントエリアの広告効果が相関して高かったという。
「ターゲットの生活・行動に合わせて、データを使い分けた成功事例。前者では折り込みチラシと組み合わせることで既存顧客へのリーチを維持しながら新規顧客の獲得につなげることができた」と小林氏。今後は流通・小売企業に加えて、折り込みチラシを多用している不動産、保険、自動車販売などにも、位置情報データを活用した広告配信を広めていく考えだ。
DSP、SSP、DMPなどの広告配信プラットフォームの開発・提供、運用までをワンストップで行うKDDIのグループ会社。2016年度の売上高は235億と、前年比160%で急成長中。スマートフォン領域での最大規模の顧客接点とデータ利活用により、クライアントのデジタルマーケティングにおける課題解決を推進する。 |
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