市場環境の変化が激しい昨今、自社ブランドの価値をより強化するための取り組みとして「インナーブランディング」の重要性が改めて指摘されています。「社員の共感を高め、自律的なブランド発展の仕組みを創る」と題して4月に開催されたセミナーでは、インナーブランディングの基本的な考え方に加え、先進的な企業の事例を通じ、取り組みを推進するための実践的な手法が共有されました。
自社の価値や魅力に対する、社員の共感を醸成するインナーブランディング。フォワードが4月に開催したセミナーでは、その戦略策定から、実行のための仕組みづくりまでを、先進企業の事例を交えて解説した。
第一部では、フォワード 代表取締役社長の加藤明拓氏が講演。強いブランドをつくるためには「コンセプト」(目指す姿)、「システム」(コンセプト表現に向けた社内ルールや業務の仕組み)、「コンタクト」(顧客接点における具体的な形)の3つの要素の一貫性が重要とした上で、ブランドに対する社員の「共感」を生み出し、ブランドを体現する行動につなげる仕組みを整えるための具体的な手法を解説した。
インナーブランディングにおいては、特に「システム」が重要
「ブランドのコンセプトを設定・共有するだけでは不十分で、それを社員一人ひとりの日々の行動に反映するための仕組みづくりが重要。仕組みがなければ、ブランドの一貫性を保つことができず、お客さまにも刷り込まれない」と加藤氏。その仕組みの運用を通じて、経営者と現場社員の間にある視界・時間感・抽象度のズレを調整していくことが欠かせないと強調した。
第二部では加藤氏に加え、日本マイクロソフトの岡部一志氏と、カルビーの野原和歌氏が登壇。ブランドに関わる複数部門の社員をどのように束ねてきたのか、両社の事例を交えて紹介した。
岡部氏は「インパクト」「ミッション」「変革」という3つのキーワードを挙げた。「インパクト」については、「相手からどう見られたいか、目指したいインパクトを設定する必要がある」とし、そこでは「会社から与えられた数値目標ではない、自らが定めた目標を、日々意識することが大切」だと岡部氏。また「ミッション」とは、「企業のブランディングにおける、コミュニケーションの核になるもの」と説明。
日本マイクロソフトの場合は、グローバルの企業ミッションの他に、日本独自の企業ミッションを掲げているという。「変革」については、「会社に根づくカルチャーをどう変えていくのかに注力している」と話し、「社長が毎月執務フロアに出向き、社員との対話集会を開催している」という事例を紹介。「スタートして7カ月経ち、集会の場では社員からの質問が飛び交うようになった。社員だけでなく、社長のマインドも変わった」と振り返った。
野原氏もまた、「まず社員に理解してもらい、ファンになってもらわなければ、社外に伝わるはずがない」と力を込め、カルビーが注力する社長ブログや社内報を紹介した。「社内では役職で呼び合わないというルールがあるため、ブログも『Akira's ブログ』と名づけ、社員が気軽にコメントしたり、参加したりできるようにしている」と、経営者と従業員との双方向コミュニケーションを図る取り組みを紹介。「会長や社長も、それを通じて社員との温度差を測ることができる」と手応えをのぞかせる。
野原氏は、「共感を得るためには、圧倒的な成果を出す必要があり、そこから信頼が生まれる。そのためには、日々チャレンジが必要」と話した。
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