アラサー女性向けの美容やファッションに特化したバーティカル動画メディア「HowTwo(ハウトゥー)」。ファッション・ヘア・メイクなどをテーマとした動画はアラサーOLを中心に絶大な人気を集め、2017年3月には月間再生回数が1億回を突破している。動画とSNSを巧みに利用した事業展開と今後の展望を、コンテンツ制作に携わっているHowTwoCOOの越塚麻未氏と同社 広告事業部長の植木則博氏に聞いた。
アラサーOLが支持 明確なコアターゲットに強み
トレンドの移り変わりが激しい女性の美容・ファッション。かつては雑誌広告やテレビCMが流行を牽引していたが、昨今はスマートフォンで視聴できる女性向け動画メディアが勃興しつつある。動画メディアはテキスト形式のメディアと異なり、目的を持ってサイトを訪れるユーザーが多い傾向にある。そのため購買行動につながりやすく、広告として高い価値があると言える。
とはいえ、ターゲットに刺さる動画を制作し、視聴者からの信頼を得なければ、エンゲージメントと視聴完了率の向上にはつながらない。数々の女性向け動画メディアが主要プレイヤーを目指して試行錯誤を繰り返している。
そんな中、ターゲットとなる世代のユーザー特性を追求し、注目を集めている動画サービスがある。アラサーOL層を対象に「動画で可愛くなれる」に特化したハウトゥー動画を配信するバーティカル(専門)メディア、「HowTwo」だ。
10代から20代前半の女性はまだ購買力が高くなく、一方で30代後半を過ぎるとスマートフォンで動画を見て商品購入するという消費行動に抵抗がある。その事実を踏まえ、「HowTwo」は大都市圏で働く26~34歳の女性をコアターゲットに据え、ユーザー属性を検証し、他社との差別化を図った。運営しているのは、動画コンテンツ拡散のノウハウを有する分散型メディア運営会社のHowTwoだ。
広告事業部長を務める植木則博氏は、自社サービスの強みを「月間100本以上の動画を制作・配信して培った、クリエイティブ力と拡散力にある」と語る。
「女性向けメディア『4MEEE』、『4yuuu!』を運営するロケットベンチャーが関連会社であり、芸能事務所とのリレーションも強く、女性に人気の高いタレントや有名モデルなどインフルエンサーとのネットワークがある。そのため話題性のある人物を起用した動画コンテンツ、広告プロモーションの展開が可能。どんな動画コンテンツがターゲットに響くのか、どんなインフルエンサーと相性が良いのか、常に効果検証しクリエイティブの精度を高めている」と植木氏。
情報量の多さが魅力の「動画」広告と、インフルエンサーマーケティング。企業が注目する2つの手法を兼ね備えたメディアであることで最近、企業から広告の問い合わせが着実に増えているという。
「検索しない」時代 SNS上の展開が鍵を握る
動画メディアが伸長しているもうひとつの理由に、検索欄を使用する機会の減少が挙げられる。かつては価格を比較する情報サイトや、口コミを集積してランキング形式で評価する女性向けサイトが人気を博していた。しかしその裏側が徐々に知れ渡り、現在はより信頼性の高い情報源が求められている。
そこで今まで以上にユーザーからの関心を集めているのが、Facebookやインスタグラムを始めとするSNSだ。HowTwoのCOOを務める越塚麻未氏は、昨今の動向を「ユーザー行動がより受動的になっている」と分析する。「タイムライン上で手軽に動画を見てSNSで購買を完了するユーザーが増加傾向にある。自身がフォローした人物からの情報であれば信頼性が高く、共感もしやすい。ユーザーが動画の視聴から商品購入までできるFacebookは動画サービスを展開する場として価値が高く、HowTwoでは早期からファンの獲得に注力していた」(越塚氏)。
現在「HowTwo」はFacebook上で100万人を越えるファンを集め、数々の商品をヒットさせている。商品を開発したメーカーが、認知度の向上を担うSNSでの展開から、興味を惹く動画コンテンツ、さらにSNS上での購買まで網羅的に繰り広げるのは難しい。SNS上で拡散させるノウハウを持つメディア運営会社がその役割を担う傾向は、今後一層加速すると予測される。
視聴完了率は平均で8割 ユーザーに寄り添う目線
ユーザーを購買行動に移す魅力的な動画を制作する際、始めに知っておきたいのはそのプロセスだ。一般的に動画広告を制作するには、まずオリエンテーションを行い、その後、絵コンテを確認する。そして撮影や編集を経て、配信に至る。その経緯は「HowTwo」も変わらない。
異なるのは、有名タレントや人気モデル、アーティストを起用し、企画の立案や撮影など、随所でアイデアを導入している点だ。ユーザーの立場に近い第三者的な目線で商品の価値を捉え、企画化する。そのアイデアを担当ディレクターがしっかり最適な表現に落とし込んでいるため、ユーザーの傾向とプロフェッショナルの技法を組み合わせて動画を展開することが可能なのだ。
また、HowTwo社内にはモデル出身の社員も多く、動画スタジオも完備していることから、迅速でハイクオリティな撮影を行うことができ、スピーディにユーザーからの関心度の高いコンテンツの制作が可能になっている。
さらに「HowTwo」で制作したコンテンツをデジタルサイネージで流すなど、動画の二次利用も可能だ。すでにリアルイベントで活用する企画も進行している。視聴完了率の平均が8割を超える良質な動画だからこそ、ユーザーからの支持が強く、その利用価値は高いと言えるだろう。
消費行動を喚起する動画広告の可能性
スマートフォンやデジタルサイネージなど、テレビやパソコン以外のメディアで動画を目にする機会は日に日に増えている。しかしどれほど良質な動画であっても、いわゆる「バズ」が起きなければ、消費者の視界に届く可能性は低い。同社は、動画制作のノウハウを培うと同時に、バズにつながるタイトルのつけ方など、動画コンテンツの展開に関するノウハウも幅広く蓄積している。
そして現在はその実力をいかし、ファッション・ヘア・メイクに限らず、“女性”をキーワードに動画広告のさらなる可能性を模索しているという。「女性は興味関心の幅が広いため、今は知られていない商品でも注目を集める可能性は存分にある。我々のミッションはそれらの商品一つひとつに対し、より質の高いユーザーを集め、囲い込むこと。すでに多数の競合他社が参入しているレシピ系の料理動画分野を除き、ターゲット属性に関わる商品は積極的に動画広告化したい」(植木氏)。
柔軟剤やヘアケア用品を始めとする日用品から、住宅・自動車まで、動画広告によって喚起できる消費行動に限界はない。「HowTwo」は常に先進的な取り組みを導入してきた実績を武器に、今後も日々新たなノウハウを蓄積し、さらなる成長を目指している。
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HowTwo株式会社
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